新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 労働運動
  4. 2015.02.03
2015.02.03
年功賃金は廃止させない

  

 安倍首相は、新年早々からウソを吹聴している。「富める者が富めば、貧しい者も自然と富が滴り落ちる。アベノミクスをさらに進化させる」。
 “アベノしずく”は、大企業の器にたまるだけで労働者には落ちない。消費増税や物価高に賃上げが追いつかない。その結果、GDP7月?9月期はマイナス1・9%。その一方で、全産業の経常利益は同時期7・6%増になっている。労働者の搾取で企業の利益が膨らんでいる。


 経団連の榊原会長は法人税3・29%の減税後押しで、「春闘に向けてベースアップも選択肢」と賃上げを強調した。しかし、本音は「2%以上のベア要求には応えられない」として、組合側の賃金要求を否定した。15春闘は、政労使会議の流れで進んでいる。「企業収益を拡大し、賃上げできる環境が条件」で政労使が一致している。
 労働側が腰を据えた具体的闘いの方針を示さない限り、交渉重視と個別交渉で生産性基準原理に固執した資本を崩せない。再び大企業だけのベア回答で、賃上げがあったかのように世間を欺くことが経団連の狙いだ。安倍首相が最高水準の賃上げをした14春闘の全体平均賃上げは0・6%でしかなかった。
 賃上げ要求から配分決定までが春闘だ。昨年9月に再開された政労使会議の目玉は、年功賃金の廃止にあった。ところがGDPマイナスの発表に政財界は戦略を修正し、官製による賃上げ路線に戻した。
 とは言っても、年功賃金を崩すことをあきらめていない。個々の企業では年功賃金の廃止が急テンポで進んでいる。その特徴的なものが「上限給」の設定だ。
 従来、入社から定年まで一段々々階段を登り、賃金が上がる年功賃金。その一段のハードルが高くされている。これまで、ケガや病気、事故やミスなどで一段を登れなくとも春闘で賃上げされた。
 しかし、上限給の設定は昇級試験や成績加算により、一段を登れた者だけが賃上げされ、同じ階段に踏みとどまる者には賃上げはされない。これは、成果賃金で実質的に年功賃金が崩壊している。
 年功賃金が崩されると賃上げで団結が困難になる。労働組合の組織率低下はここにも要因がある。政財界は、本気になって春闘潰しにかかってきている。労働組合から春闘が失われれば存在感も無くなり団結も低下する。
 徳俵に足のかかった15春闘を労働組合の力を結集して闘わないといけない。


 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ