えひめユニオン井関分会の菊池晃広さんら5人は、井関農機株式会社(本社=東京都荒川区、本店=愛媛県松山市)の子会社、活芒ヨ松山製造所と活芒ヨ松山ファクトリーを相手取り、正社員との均等待遇を求めて5月22日、松山地裁へ提訴した。
原告の5名は、従前は派遣労働者として両社で働いていたが、子会社3社で、違法派遣問題が発覚、08年9月から直雇用として、期間6カ月更新の有期契約労働者として働くようになった。
しかし、正社員と有期契約労働者とでは労働条件は大きく異なり、
@賞与は井関松山製造所では正社員平均で約60万、ファクトリーの正社員は平均約37万円であるのに、有期雇用契約の労働者は寸志と称して約5万円しか支給されない。団体交渉に会社側代理人として登場する弁護士は「正社員の一時金は支払う義務があるが、寸志は義務ではない」と強弁してきた。
A住宅手当や扶養手当は正社員には付くが有期契約労働者にはない、
B慶弔休暇が正社員はとれるのに、有期契約労働者にはない、
C正社員が月給制であるのに、有期契約労働者は時間給制で最大1100円、月平均16〜17万円、定期昇給や退職金がないなど不当な差別が行われてきた。
20年前に子会社の社員というだけで不合理な扱いを受け、苦汁をなめさせられる中で起ち上げた井関ファクトリー労組を母体として、執拗な差別扱いをされてきた有期雇用の労働者が、えひめユニオン井関分会を立ち上げ、8年の闘いの積み上げを経て、今回労働契約法20条の「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」条項を活用して提訴に至った。
提訴終了後の記者会見で、原告を代表して菊池晃広さんは、「同じ時間に出社し、同じ職場で、同じ上司の下で、指揮命令を受けての1日、週5日です。したがって、労働者が仕事上負わされる責任と義務は正規も非正規も全く違いがありません。
この裁判は、非正規雇用は希望したことではない、非正規労働者も憲法に保障されている人間であることを明確にすることです。誰かが声を出し、誰かが立ち上がり、誰かがやらなければ、非正規労働者は浮かばれることはありません。組合のこれまで築いてきた強固な団結と、そのもとで学習してきた力で、仲間と共に、更に自らを奮い立たせるためにも公開をし、そして何より非正規労働者に関心を、と叫びたい」と訴えた。(愛媛発)
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