期待権無視の運用に国会審議がストップ
参議院厚生労働委員会が8月27日に開かれ、与野党10委員の質疑が行われた。質疑は、政府の確認答弁を強く求める質問が目立ってきた。
10月1日に施行される「労働契約申し込みみなし制度」の適用を受ける対象者を政府が明確に説明できない、と野党が反発して審議が1時間以上中断し、15時に散会した。
塩崎恭久厚労相は、改定案の重要な部分で「労働者派遣法改悪案が施行されれば、以前に結ばれた派遣契約で期間制限違反が生じても労働契約申し込みみなし制度を適用しない」との解釈を示した。これに対し、小池晃委員は「本来、派遣先に直接雇用されることを期待していた労働者の権利が奪われる。条文にも明記されていない」と批判した。
塩崎厚労相は「内閣法制局も同意している」などと答えるものの、追及にまともに答えられなくなった。
野党委員から再三、「9月1日の施行は無理ではないか」との質問にも、厚労相は「閣議決定され、上程された法を審議いただく立場。速やかにお願いしたい」など繰り返し答弁するばかりだ。
派遣法案が欠陥法であることは明らかとなっている。労働者派遣法改悪案はもう廃案するしかない。その後も塩崎大臣は答弁に立つことができず、予定されていた質疑予定4委員を残したままの散会となった。
今後の委員会運営は、理事懇談会などで協議される。本来、政府は、改定法案で「9月1日」となっている施行日について、質疑終了後に政府が繰り下げ修正の提案に踏み切るかが焦点だったが、その前の「流会」で、政府・与党は委員会運営に四苦八苦。
しかし、政府・与党は審議が尽くされたとして、強行採決を目論んでおり油断はできない。
次回の委員会質疑は9月1日、3日となった。それに対し両日の12時から1時間、参議院議員会館前で「派遣改悪法反対集会」を開き、その後の16時まで座り込み行動が実施された。
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