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 2015.09.22
派遣労働者は泣いている
衆院で派遣法改定が11日成立


 正社員の道を閉ざし生涯派遣に追いやり、全ての労働者を有期雇用に切り替えるステップとする労働者派遣法改悪案が9月8日、参議院厚生労働委員会で自公与党の賛成多数で可決した。9日の参議院本会議と、法案修正に伴う衆議院回付により、11日の衆議院本会議でも可決・成立した。
 政府は一貫して、労働者派遣法改定は「正社員を希望する人に正社員の道を開き、派遣を続けたい人のキャリアアップを後押しする」とバラ色のウソをついてきた。9月1日の日経新聞に掲載された「派遣社員・契約社員の68%が派遣法案に反対している。派遣労働者は今回の法案の成立を待ち望んでいない」に対して、厚労相は「4人から間接的に意見を聞き、そのうち2人が賛成した」などと当事者の意見を1度も聞いていないことを露呈した。野党委員からの「雇い止めが起きたら、どのような手を打つのか」に、厚労相は「都道府県の労働局に相談窓口を設けるハローワークに誘導する」。委員からヤジが飛ぶ。「当事者は泣いている。現実を知らなさすぎる」。傍聴に来た派遣女性は「労働局に相談して済むんだったら、自分は『雇止め裁判』なんて起こしていない。ハローワークということは『次の仕事を探せ』と言うこと」と批判して「結局、何ひとつ答えていない」とやりきれない悔しさで涙を流した。


 ひどいのは安倍首相の役人から手渡された問答集を読み上げ、野党委員の質問時間を遮り、「正社員の道を切り開く」を繰り返す。衆参厚労委の審議は全てが万事この問答集で終始した。その背景に、政府・与党による「数の力」の傲慢がある。
 本案は、専門26業務という区分や業務単位での期間制限を廃止し、「均等待遇原則」の導入そのものは見送りとなり、派遣労働者は3年ごとに仕事を失う。10月1日から施行の「労働契約申し込みみなし制度」を本案で形骸化し派遣労働者の希望を奪うことは自公の裏切りだ。
 政省令の十分な審議時間も確保されていない。労働法制改悪に突き進み、「世界で一番企業が活躍できる国」作りに断固反対する。

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