ブラック企業を告発する実行委員会が10月27日、厚労省で2015年ブラック企業大賞ノミネート企業を発表した。それによると、セブンイレブンジャパンなど6社。これらは11月29日に都内で開かれる授賞式までの約1カ月間、ウェブなどで投票が行われ大賞が決定する。http://blackcorpawars.blogspot.jp/
ブラック企業大賞を選考、表彰するという企画は、労働問題や労働者の権利について広く知ってもらうため、労働組合活動では届かない層にも関心を持ってもらえたらという思いで2012年にはじまった。
過去、12年は原発事故の東京電力、13年は新社員の自死をまねいたワタミフード、14年は過労自死が頻発するヤマダ電機が大賞を受賞している。
実行委員会は、内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)、坂倉昇平(ブラックバイトユニオン事務局長)、佐々木亮(弁護士)、須田光照(全国一般東京東部労組書記長)、竹信三恵子(和光大学教授)、松本千枝(レイバーネット日本)各氏など10人からなる。
今年のノミネートされた企業は次の通り。
■株式会社セブン―イレブン・ジャパン日本国内にコンビニを展開、国内チェーン全店で4兆円超を売り上げる日本最大手のコンビニエンスストアチェーン。昨今、学生アルバイトを低待遇で使役する「ブラックバイト」が社会問題化しており、コンビニバイトはその代表的な業種である。コンビニ本部各社は自らの責任を否定してきたが、業界にブラックバイトが蔓延するのは本部が加盟店主らから過酷な搾取を行った結果であるとも言える。
■暁産業株式会社消防自動車、消防用設備などの販売と保守点検を行う福井県福井市の企業。10年12月、同社の保守点検部門で働いていた当時19歳の男性社員が、自宅で自死した。直属の上司から暴言を執拗に投げつけられ、11月下旬には鬱(うつ)状態に、男性はリーダーからの指導内容を刻明にメモに取るよう命じられており、この記録を証拠に福井労働基準監督署は12年7月、男性の自殺原因は上司のパワハラであると認定した。事業規模は小さいが、パワハラの陰湿性と悪質性からノミネート。
■株式会社フジオフードシステム大阪や京都を中心に、「まいどおおきに食堂」や「串家物語」などの飲食店や居酒屋を運営する。同社は従業員の労働時間を改ざんし、長時間労働をさせて残業代を支払わなかったとして今年8月、法人と当該店舗の店長など16名が労働局により書類送検された。
■株式会社エービーシー・マートABCマート名の店舗を全国で約800店を運営する靴の専門店。ABCマートは、会社と労働者間で合意する36協定で定めた残業時間(79時間)以上の月97〜112時間を残業させたとして、労働基準法違反の疑いで今年7月、書類送検された。同社は、労働局から繰り返し是正指導されていたが、改善が見られなかった。
■株式会社明光ネットワークジャパン(明光義塾)個別指導塾最大手・明光義塾を運営する企業であり、個別指導塾業界を牽引してきたパイオニア。個別指導塾では、講師アルバイトに対して、授業以外の業務に賃金が違法に払われない「コマ給」問題が蔓延しており、「ブラックバイト」の象徴となっている。また全国の明光義塾のフランチャイズ教室でも、今年8月には茨城、10月には埼玉、東京、大阪で労基署の是正勧告が出ている。
■株式会社引越社関東「アリさんマークの引越社」として全国で営業展開する引越による荷物の運搬等を業とする企業。引越社関東は、同社従業員で元は営業職であったA氏をシュレッダー係に配転するなどしていたところ、15年8月、突如としてA氏を懲戒解雇。A氏の所属する労働組合(プレカリアートユニオン)の抗議行動に対しては、同社幹部らが同労組の関係者に対し、「おい、こらぁ!」「なにしとんねん、われえ!」「言うてみい、こらぁ!」などと尋常ではない迫り方をするなどした。同社に対しては、引越荷物の破損等に対する損害を従業員に全て負わせ給与から天引きしていたことから、全国各地でこれを取り戻す裁判が起こされている。
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