外国人技能実習制度についてのシンポジウムが4月2日、都内で移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)主催で開かれた。
ジャーナリストの安田浩一さんは、せきを切ったようにほとばしる言葉で、その悲惨、悲痛な実態を語った。
外国人技能実習生(以下、実習生)の時間賃金は200円から400円程度、休みは月に1日程度。最低賃金は守るところが多いが、6畳一間で4万円の家賃相場のところに3人の実習生を詰め込み、1人当り6万円の家賃をとるなど、やり方が巧妙になっている。
パスポートや預金通帳は経営者が預かっている。また、実習生が経営者ともめごとを起こしたりストライキをすると、就業規則違反・契約違反で本国に送り返され、実習生となるための保証金や働いた賃金は返ってこない。
日本に来る実習生は貧しい農村の人で、「日本で3年働いてお金をため、本国に帰ってマイホームを」という甘言に騙され、保証金や渡航費用等々のために100万円ほどの借金をして来日する。しかし、本国に送り返されたら借金返済のめども絶たれてしまう。こうして、どんなに劣悪な労働条件であっても、そこから逃げ出せないような仕組みがつくられ、まさに支配と服従の奴隷労働だ。
「外人には最賃法も労基法も必要ない」とは、取材の際に多くの経営者から聞かされた言葉だ。現行制度が平凡な経営者を、そして社会をも壊していく。
続いて移住連の旗手明さんは、15年の米国務省・人身売買報告書から「パスポートの取り上げ、拘束といった実質的証拠があるのに、政府は強制労働の被害者を1人も認知していない」等の部分を引用し、日本政府の姿勢を批判した。
最後に移住連の鳥井一平代表理事は、「外国人技能実習制度を廃止し、労使対等原則が担保された受け入れ制度を提起していく」と訴えた。
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