厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月26日、2016年度の最低賃金の目安を全国平均で24円引上げ、822円にすると決めた。
上げ幅は安倍首相がめざす「3%」と政権の意向に沿った引上げとなったが、生活できる賃金水準(1500円)にはほど遠い。4月14日から15日にかけて、3回目になるファストフード業界で働く労働者や低賃金労働者の賃上げを求める「ファストフード・グローバルアクション」を、渋谷センター街を中心に全国で展開した。「時給1500円」と書かれたお札に見立てたリーフレットを配布して、「労働組合に入って賃金をあげよう!」というメッセージを発した。
この取組みは、「単に賃金を上げろというだけではなく、労働組合が関わる運動なので、労組に入って賃上げと同時に職場の環境を改善していこう、職場の中の差別や不合理に対しても声をあげていこうという呼びかけも全国規模で広げていきたい」と訴え、「今すぐ1000円の実現、1500円をめざす」取り組みをしてきた。
今回の最低賃金引き上げは、安倍政権の「ニッポン1億総活躍プラン」の一環で進められたもので、「過去最高」「今世紀一番」などで煽り、労働者を煙に巻く政策だ。目安どおりの引上げになっても、全国平均が800円を超えるだけで、こんな低額引き上げでは生活はできない。厚労省の調査でも最低賃金すれすれでは働く、パート、アルバイトの労働者は400万人を超える。
「1億総活躍プラン」は全国平均1000円をめざすことが盛り込まれているが、今すぐ1000円には手を付けず、「リニア中央新幹線の8年前倒し」など、生活とかけ離れた大企業本位の公共事業を優先する経済対策に28兆円をつぎ込み、その財源は赤字国債。
労働者の生活を後回しにする。最低(714円)の鳥取、高知、宮崎、沖縄県はフルタイムで働いても12万円余。最低と最高の差は200円、都市部への人口集中に歯止めがかからない。年収200万円以下の労働者は1000万人を超えている。「1億総活躍プラン」は絵に描いた餅であり、アベノミクスの衣をかぶった改憲論者の笑顔だけが見えてくる。
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