労働委員会から「当分の間、出向解除の措置を行わないこと」など2項目からなる「要望書」が出されたことから、提案を拒否している組合員にバス職場からの配転はありませんでした。しかしSHDは2016年4月、6名の組合員にSHDへの復職を発令。組合はすぐさま抗議し中止するよう求めましたがSHDは応じませんでした。労働委員会もまたこの事態に、「組合との協議の中で、労働委員会の要望を無視して復職の強行を行ったことには憤りを感じる」と公益委員が異例の発言をしました。そして、復職命令の中止や提案拒否者の出向継続を求める「勧告」を発しました。 ところがSHDは、「勧告」をも無視し提案拒否者のうち、さらに6名を5月に復職させました。復職先では、必要のない駅清掃やバス停の清掃、草むしりなどの業務に就かされています。今では24名を復職させ、ホテルの修繕やマンション管理、スーパーなどの業務を営む会社に強制出向させています。
こうした事態に対して組合は、バス運転士以外の業務にて勤務する義務がない労働契約上の地位にあることを確認する「復職義務不存在確認等請求事件」を横浜地方裁判所に本年6月に提訴。その第1回口頭弁論が8月18日に行われました。当日は、原告や組合員、家族会、神奈川県私鉄労組の仲間が傍聴として参加しました。裁判では原告側から、不当極まりない会社の提案に対する意見陳述(別項)や訴状内容の確認が行われました。 裁判官は、「バス支出削減策」に対して、「グループの支出は復職を強行しても変わらないか、むしろ増えるのではないか」と疑問を呈し、被告側に対して次回口頭弁論で説明するよう求めました。
この闘いは、会社に対して労使合意、労働協約を守らせること、不当労働行為を糾弾する闘いですが、簡潔に言えば、労働者が安心して働き生活する権利を守る闘いです。SHDの不当性を明らかにし、バス職場に戻るまで闘い続けます。
組合員の意見陳述
私は、1988年に相模鉄道自動車部にバス運転士として入社し、以来28年間、一貫してバス運転士として、プライドをもって働いてきました。中略 会社は勧告も無視して復職を強行し、それどころか報復としか考えられない追い出し部屋的処遇を強いています。提案を拒否した仲間は、草刈りや駅の清掃、チラシ配布、ホテル修繕など屈辱的な仕事を命じられています。こんな業務命令は、転籍を拒否した組合員への見せしめであるのは明らかです。 私自身、ホテルの小修繕の仕事をしていますが、私の仕事はバスの運転士です。バスの運転をしなければ、会社に対して給料に見合った貢献ができません。
提訴後も転籍拒否者のバス乗務外しは続いていて、既に24名になりました。残業代部分の給与がなくなり大きく手取りが減り、先の見えない不安感が心身をむしばみ、すでに追い出し部屋送りにあったうち4名の仲間が精神疾患で休職しました。バス運転士は恒常的な人手不足なのに、仲間と家族を苦しめるこんな会社の仕打ちを絶対に許せません。会社の一連の行為には、全く合理性がないことは明らかです。
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