非正規労働者が5年を超えて勤務すると正社員と同様に定年まで働けるようになる「無期転換ルール」について、非正規の85・7%が制度の存在や内容を知らないことが調査で分かった。
このルールは非正規の雇用安定を目的に来年の18年4月に始まるが、当事者に十分浸透していない実態が明らかになった。国や企業が周知の取り組みを怠っているからだ。この法律は労働者が、期間限定で自ら申し込まなければ権利を行使できない。
ルールは13年4月施行された改正労働契約法に盛り込まれた。
非正規労働者は同じ会社で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた場合、本人の申し込みに基づき正社員と同じ契約更新の必要がない「無期雇用」として働けるようになる。だからといって、正社員とは異なり、定年まで賃金が固定される課題が残る。
調査は3月、同じ勤務先で6カ月以上働く20〜40代のパートやアルバイト、契約社員の男女679人と、従業員30人以上の企業の経営者、人事担当者554人にインターネットで実施した。ルールを「知らない」と答えた非正規労働者は58・6%で、「内容はよく分からない」は27・1%。「内容も理解している」はわずか14・3%だった。
一方、企業側は71・7%が「内容も理解している」と回答があったが、「内容はよく分からない」は21・5%で、残りは「知らない」とルールさえも知らない企業も目立った。
雇用している非正規への周知・説明を「すでにした」のは48・2%にとどまり、「これからする予定は38・6%、「予定はない」が13・2%にも上っている。これでは、無期転換ルールは生かされず、権利行使もできない。
■非正規労働者の無期転換ルール
非正規労働者が労働者の約40%を占める中、雇用改善のため、13年4月施行の改正労働契約法に定められた。同じ雇用主との契約を繰り返し更新し、通算5年を超えて6年目に入った段階で、雇用期間の定めのない無期契約を申し込む権利を得られる。企業は拒否できない。13年4月以降の契約が対象で、施行から5年後の来年4月から適用(申し込み)が始まる。
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