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2017.06.20
韓国・サンケン労組
遠征闘争実り職場復帰


 サンケン電気(埼玉県新座市)が、1974年に100%出資して韓国の馬山自由貿易地域につくった韓国サンケンで、昨年9月30日、生産部門の労働者34名全員が整理解雇された。赤字を理由に組合員を追い出す、組合つぶしの解雇だった。
 労組は昨年10月から日本に代表団を送り、本社への抗議要請行動を行ってきた。朝7時20分〜8時30分、出勤してくる社員にビラを配り、マイクで解雇が不当であることを訴え、本社として解決するよう要請した。
 凍りつくような冬の本社前での座り込みも、労組が準備した生姜湯やゆず茶で暖をとり、ユルトン(労働歌に合わせた力強い踊り)を行って元気を出してきた。最寄り駅の東武東上線の志木駅頭での情宣、毎週水曜日、池袋の海外営業本部への要請行動、川越工場前での昼休み情宣と行動は続いた。
 昨年12月27日、韓国の慶南地方労働委員会で「不当解雇」の裁定が出た。「原職復帰」と未払い賃金の支払いを命じるものだった。
 会社は従わずに中労委に提訴。今年4月、中労委から和解勧告が出た。会社は組合員一人ひとりに対し、解雇慰労金を吊り上げ「60カ月分」という考えられない高額で退職するよう迫った。家庭の事情で泣く泣く辞める組合員も出てきた。結局16人が残り、原職復帰を求めて闘った。中労委の裁定は地労委と同じ「不当解雇」だった。
 中労委裁定の前日、会社から出勤するようにと通知が来た。しかし出勤しても、工場の中には機械も作業台もなく、ただ16個の椅子があるだけだった。工場のほかの場所には行けず、トイレにしか行けない監禁状態で、何もすることもなかった。これがなぜ「復職」なのかと、また労組を無視したやり方にさらに抗議を強めた。
 6月2日、ついに労使合意に達し、合意書が交わされた。解雇を撤回し、「生産現場の閉鎖」という決定を取り消し、現場に復帰させるという画期的なものだった。団体協約を守るという労組の活動を認めさせた。
 工場移転と生産部門の稼働まで約1カ月の有給休暇も合意した。現在、組合を認めたくない会社は、これからも組合つぶしを狙う攻撃をかけてきている。労組はハチマキを締め直して新たな闘いを開始している。(韓国サンケン労組を支援する会・尾澤邦子)

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