新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 労働運動
  4. 2018.01.23
2018.01.23
「無期転換」ルール骨抜き
大手自動車企業が脱法


 

 短期契約を繰り返す労働者が、5年超働くと「無期転換」の申し込みが可能になることが18年4月1日から始まる。申し込みの後、1年間の申込期間を経て、2019年4月から無期雇用に切り替わる社員がでてくる。
 これは、13年に施行された改正労働契約法第18条により、期間雇用者など非正規社員が同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば無期雇用に転換できる「5年ルール」が導入されたことによる。この法律に関して理解している非正規労働者は20%、事業者に至っては70%が理解していないと厚労省が明らかにしている。それだけ社会に徹底もされていない。
 その改正法に、企業の要望で抜け道がつくられた。契約終了後から再雇用までの「空白期間」が6カ月以上あると、それ以前の契約期間はリセットされ、通算されない。これを安倍政権下で利益を重ねる自動車大手企業が利用した。これまで、自動車各社は期間雇用者に対して継続した雇用をしていない。工場のライン状況により、1カ月から3カ月の一時退職をさせていた。
 ところが無期雇用の転換を回避するために「5年ルール」の適用前に、空白期間を6カ月に延長させた。これで、空白期間が6カ月以上あると、それ以前の契約期間がリセットされ、通算されない。これを自動車大手各社は利用する。
 安倍政権が進める国家戦略特区におけるワーキンググループが示した雇用特区では、「短期契約を繰り返す労働者が、5年超働いても無期転換できなくする契約を認める」ことを提言している。無権利状態にある期間労働者を決して、無期転換させない、正規社員にさせない。人間扱いしないで企業の利益第一を優先する姿が鮮明になっている。リーマン・ショック後の大量雇い止めが社会問題化した教訓が全く無視されている。
 空前の利益を上げる自動車産業、利益追求はとどまることを知らずに、労働者を搾取する実態が改めて浮き彫りになり、安倍首相が進める「働き方改革」の欺瞞もますます明らかになってきた。


 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ