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2018.05.08
労契法20条裁判
非正規の格差なくせ
当事者らが結集して集会  最高裁判決6月1日

 正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差を禁じる「労働契約法20条」。この法律に基づいて闘われている裁判で、画期的な出来事が相次いだ。4月20日に長澤運輸事件、4月23日にはハマキョウレックス事件と相次いで、最高裁で口頭弁論が開かれた。口頭弁論は、その前の判決を変更するときに通常開かれる。判決は両方とも6月1日と指定された。
 愛媛県に工場のある井関農機のグループ会社2社(井関松山製造所と井関松山ファクトリー)で働く有期雇用社員5人が、正社員と同じ仕事をして待遇に格差があるのは違法と訴えた井関農機20条裁判の判決が、4月24日松山地裁(久保井恵子裁判長)であった。
 判決は、違法格差を認め、手当の支払いを命じた。家族手当や住宅手当などについて、「正社員に支払い、有期契約社員に支払わないのは不合理で労働契約法に違反する」として2社に対し、合わせておよそ230万円の賠償を命じた。これまでの労契法20条裁判で判例のなかった「物価手当、精勤手当」が初めて加えられた。
 一方で、正社員と同じ賞与の支払いを認めず地位確認は棄却。原告は「正社員と仕事内容がほぼ同じと自負している。それが認められるよう控訴したい」と述べ、原告代理人も「地位確認は、6月1日に最高裁判決を控える長澤運輸事件を意識して、地裁判断を避けた」と指摘した。
 労契法20条裁判に対する初めての最高裁判決は、大きな注目を集めている。
 すべての労契法20条裁判の勝利をめざす4・23集会が4月23日、120人が参加して東京都内で開かれた。主催は全日建運輸連帯労組で、長澤運輸事件とハマキュウレックス事件の当事者だ。
 長澤運輸は、定年後嘱託職員となったトラック運転手が、業務内容にまったく変化がないのに賃金が3割引き下げられたと提訴。一審判決では原告が全面勝利したが、二審の東京高裁で逆転敗訴。「定年後の賃下げは、社会的に容認されている」というのが、高裁の言い分。原告は「最高裁で弁論を開くようにと、10万を超える署名を集めた。それが実った」と語っている。 ハマキョウレックス事件は、有期契約の労働者が、正社員に払われている各種手当が支払われていないと提訴。一審では、通勤手当が認められ、二審の大阪高裁では、4つの手当が認められている。中島光孝弁護士は、最高裁判決では「請求した6つの手当すべてが認められる可能性がある」と語った。 集会には、@長澤運輸、Aハマキョウレックスの他に、日本郵便、メトロコマース、名古屋自動車学校、千葉内陸バスも参加して、闘いの報告がされた。最後に「非正規の格差撤廃、同じ仕事なら同じ賃金を!」を参加者全員で訴えた。

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