『技術革新と雇用』
具体的な運動
当面の労働運動の課題は、安倍の9条改憲を阻止すること、「働き方改革」一括法案を廃案にするとともに職場・地域で「働き方改革」と対決する運動をつくることである。労運研は、労働運動を研究する組織だが、それは具体的な運動をどうつくるかを研究する。
今回の討論集会のスローガンは、「労働者の共闘で、8時間働けば暮らせる社会の実現を」である。市民運動と連携できる労働者の共闘をつくる必要がある。労運研の課題は、全国化と世代交代である。労運研の取り組みを全国に広げていく、運動を通じて世代交代を図っていくことである。
全国キャラバンを成功させることは重要な課題である。最低賃金大幅引き上げキャンペーンは、「最賃を上げろ」という運動をしてきたが、どうしたら最賃を上げることができるか、地域から格差をなくそうという取り組みになってきた。最賃の全国平均は848円だが、これは加重平均だから40県は平均以下である。
韓国の最賃が約750円、17県より上回っている。各県の審議内容を調べ、最賃ぎりぎりで働いている人の声を聴けという運動を地方から起こそうとしている。
労契法20条裁判は、郵政ユニオンが手当を問題にして成果を上げてきた。全日建やメトロコマースでは基本給の格差を争っているが、正規と非正規では格差があって当たり前という判断も出ている。JPでは正社員に住宅手当を払うのは間違いでしたと住宅手当を廃止することになった。
「働き方改革」は裁量労働制や高プロをなくせばよいという問題ではない。労働弁護団は、連合を巻き込んで全労働者の運動にしようとしている。高プロ反対は連合と一致できるが、他の項目について連合は賛成である。連合は生産性向上賛成論だから、私たちの立場と決定的に違いが出てくる。
労運研には、立憲民主党、社会民主党、新社会党、共産党などの支持者がいる。アベ政治に反対するだけでなく、どのような社会をつくっていくのか、労働者として考えていかなくてはいけない。
労研センターの運動をしてきたので「総評労働運動の継承・発展」などと言っていたが、今は総評労働運動を反省しなくてはいけないと思っている。男性正社員中心の賃金論だった。
「同一労働同一賃金」といった場合に、医療、住宅、教育、介護が無料だったらはじめて「同一労働同一賃金」が実現する。賃金は生計費だから、結婚して、住宅を手に入れ、子育てに金がかかるから、年を取った人の賃金が高いのは当然と組合員に説明してきた。職務職能給を導入して年功賃金を続けてきた。
労働組合は賃金闘争を主に闘い、社会保障や教育、住宅は政治課題だから選挙闘争として闘うという「日本的労働組合主義」だった。それが、雇用破壊、賃金破壊、社会破壊を許してしまった。
地区の労運研
今年の連合白書は「生産性三原則」が前面に出てきた。日本の場合は、自分の雇用を維持して非正規を増やしてきた。生産性の還元を、ヨーロッパのように産業別や職業別の雇用保障や職業教育に還元しないで、企業に還元する。
企業別労働組合だから生産性向上イコール企業利益である。企業が儲からない限り賃金は上がらない、賃金を上げるために不採算部門を切り捨てる。だから解雇撤回闘争は闘っても、雇用保障闘争は闘わなかった。
「働き方改革」のベースには、少子高齢化とともに自動化・AI化という問題がある。「技術革新と雇用」という問題である。野村総研の調査によれば、今の労働人口の半分でよいことになる。
「技術革新と雇用」の関係をどうつくるのか、そして仕事、家庭、教育をどう結ぶのか、労働運動として考えることが問われている。
労運研の第2回討論集会で、全国地区労交流会とコミュニティユニオン全国ネットを来賓としてお招きした。今、全国集会を行っている3つの組織が、全国キャラバンでつながった。この闘いをしながら、地区の労運研をつくる、総がかり労働運動の地区の支えになる。
その基軸は、自治労、日教組になるだろう。家庭との関係、教育との関係を考えながら「8時間働けば暮らせる社会の実現を!」めざしていく。
シングルマザー問題も労働問題だけでは解決できない。労働運動の役割、福祉制度の役割それぞれ最大限追求しながら闘わなくてはならない。集団的労使関係を築きながら追求していくことが労働運動の役割だと思う
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