中国電力が山口県上関町に計画している2基の原発の建設に反対している住民組織や市民団体、原水禁山口県民会議は6月19日、世耕弘成経済産業相に「上関原発新規立地中止を求める要望書」と3万6303筆の署名を提出した。
要望書と署名の提出は東京・永田町の参院議員会館で行われ、合せて院内集会「『奇跡の海』を活かした上関の未来へ 地域おこしへの私たちのチャレンジ」が開かれた。
原発建設が計画されている上関町田ノ浦は瀬戸内海に面し、周辺海域はカンムリウミスズメやスナメリなど世界的に希少な生き物が生息する“奇跡の海”といわれている。 田ノ浦に1982年、原発建設が持ち上がり、自然の恵みを受けて暮らしてきた人々は36年もの長きにわたって反対し続けている。町民の半数近く、とりわけ建設予定地から3・8キロの対岸に暮らす祝島の住民は9割が反対し、運動の中心を担ってきた。
人々の粘り強い闘いによって36年経った今も工事の進捗率は「0%」だ。しかし、原発を「ベースロード電源」とする国・経済産業省・財界は原発再稼働を強行し、新規立地や廃止した原発を新しい原発に取り替えるリプレイスの方針を捨ててはいない。
要望書と署名の提出はこうした情勢の中で行われたもので、「福島第一原発の事故を受けて、新規立地などあってはならない」とした上で、@上関原発計画の中止、A国のエネルギー政策に「新規立地計画中止」の文言を入れる、B新規立地中止を求める国民の声に耳を傾ける、の3点を求めている。
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