国に署名5034筆提出 〜国交省審議官「廃止押付けない」〜

北海道新得町の有志らでつくる「根室本線の災害復旧と存続を求める会」の平(ひら)良則代表らは8月29日、東京・霞が関の国土交通省を訪れ、「JR根室本線(新得―東鹿越間)の早期復旧と路線維持を求める署名」5034筆を提出した。
JR根室本線は2016年夏の台風災害で不通となり、代行バス運行を続けており、署名は5月から2カ月間で集められた。署名提出には同会の佐野周二事務局長と立憲民主党の石川かおり衆院議員(北海道11区)が同行した。
署名簿を国交省鉄道局の寺田吉道官房審議官に手渡した平代表らは、1時間にわたる異例とも言える長時間の意見交換を行った。
この中で平代表は、国鉄改革法成立(1986年11月)の際の参議院の付帯決議「災害防止の施設整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行う」を上げ、「災害復旧を一日も早くしてほしい。根室本線を復旧・存続し、開拓に寄与した鉄道遺産として子や孫に受け継いでいってもらいたい。JR北海道の株主である国は、路線維持の義務を果たしてほしい」と要請した。
佐野事務局長は、「外国人観光客に、いろんな楽しみ方をしながら道内を回っていただくためにも鉄道は大切。根室本線は旭川と帯広をつなぐ幹線であり、北海道の真ん中を通る。廃線になれば北海道が分断されてしまうような重い路線だ」と早期復旧・存続へ国の対応を求めた。
これに対し寺田審議官は、「国が一方的に廃止を決め付けることはない」と明言するとともに、JR北海道に19、20年度の2年間で400億円を超える支援をすることを説明。
2011年7月の新潟・福島豪雨で不通となったJR東日本の只見線の復旧が、地元・国・JRの三者が3分の1ずつ費用を分担する形で行われることを上げながら、「どういう形で路線を残すべきか、今後2年間に地域でもじっくり議論してほしい」と述べた。
また、寺田審議官は外国人に人気の高い北海道で新たな鉄道旅行需要の創出について検討していることを明らかにし、魅力ある観光列車の運行、自転車旅行者に使いやすい鉄道サービスの提供などを上げた。
根室本線の存続求め
10月22日十勝集会
「根室本線の災害復旧と存続を求める会」は8月24日、北海道新得町内で開いた意見交換会で、「JR根室本線の路線維持を求める十勝集会」(仮称)を10月22日に帯広市の帯広市民文化ホールで開くことを決めた。
集会は実行委員会が主催し、JA、商工会議所、観光団体、労働団体などが協賛、パネル討論などを行う。
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