課題と任務を論議 これまでの自治体臨時・非常勤等職員は、民間労働法(パート労働法、労働者派遣法、労働契約法など)から「適用除外」とされてきたために「法律の谷間」に置かれた。
昨年5月の改正地公法・自治法により「特別職非常勤職員」から「一般職非常勤職員」として位置づけられ、会計年度任用職員制度は「同一(価値)労働・同一賃金」要求の高まりを受けた処遇改善を一部取り込んだ内容となった。
しかし、名称からも明らかなように「再度の任用」を可能としたものの「会計年度」単位の任用となり、毎年の任用継続の不安は残されている。
また、これまで「一般職非常勤職員」として位置づけられていたが、「職員団体」の対象となるため労働基本権の制約を受けることにもなる。
10月20日、21日かけて第21回全国自治体労働運動交流集会が、東京都内に全国から50人が参加して開かれた。
集会は、2020年4月の施行がせまる「会計年度任用職員制度」協議に自治体非正規の仲間の声を反映させるため、自治体労働運動に問われている課題と任務を集中的に論議しようということで、これまでの課題別分科会方式から統一テーマを設定し分散会方式となった。
実態からたたかう
初日は、集会基調と問題提起として、自治労兵庫県本部・森哲二組織部長が「雇用形態の違いを超えた団結づくりを」と題して、自治体非正規労働者の思いと実態を把握すること、喫緊の課題である処遇改善は「正規と非正規の対立」では解決しないこと。
また兵庫県内における臨時・非常勤等組合の組織化(たたかい)の歴史を紹介し、「会計年度任用職員制度」移行にあたっては、「法ではなく実態からたたかう」こと、組織化の“ラストチャンス”ではないかと当事者を組織したたかうことの意義をこれまでの経験から問題提起した。
基調提案を受けて、参加者は3分散会に分かれ、職場の実態と共通課題などを検証し、組織化をどうすすめるのか、交渉の進捗状況や交渉の焦点、また「雇止め」や「配置見直し」などの動きがないか点検した。
各分散会の報告として組織化を進めるにあたっての受け皿をどうするのか、自治体労組の組織が弱体化しているなかで組織化にすすめないなど、実態も浮き彫りになった。単組の制度説明会や学習会には多くの未加入者の参加があり、アンケートも多く集約できていることからも自治体労組への期待や当事者の不安が確実に読み取れる。
そもそも「安上がり」を求めて自治体非正規を増加させてきたことからも、制度移行による「人件費の増」につながる処遇改善は安易に実現できるのか、集会の成果を持ちかえり取り組みを一層強化しようと集約された。(詳細は「集会集約」参照)
2日目は、この課題に取り組んできた高知県職労と調布市職労からの取組み報告を受けた後、河添誠さん(都留文大非常勤講師)から集会の記念講演として「格差・貧困の拡大と自治体労働者へ期待するもの」をテーマに報告を受けた。
河添講師は、日本の貧困状態にある最大多数は、ワーキング・プア層であり、その中心が非正規労働者であること、自ら取り組む「最低賃金の大幅引き上げキャンペーン運動」の実践から「職場からの賃上げ要求と地域別最低賃金大幅引き上げ要求の結合を!」と提起した。
その上で、「本気で貧困をなくすために自治体労働運動のさらなるバージョンアップが求められる」と訴えた。
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