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2019.02.05
非正規の待遇改善
一審上回る判決 〜郵政日本裁判で大阪高裁〜 
『格差は違法』と賠償増額
 日本郵便で働く非正規労働者の労働条件改善を求め、労働契約法20条を用いた裁判の判決が、1月24日、大阪高裁であった。

 日本郵便の非正規社員8人が、手当や休暇制度について正社員と格差があるのは違法として、計約4200万円の支払いなどを求めていた控訴審で、大阪高裁(中本敏嗣裁判長)は、一部の手当などの格差を違法と判断し、計約430万円の賠償を命じた。

 年末年始勤務手当などについて、契約社員の雇用期間が5年を超えるかどうかで格差の是非を判断する新しい基準を示した。

 約300万円の支払いを命じた一審・大阪地裁判決(2018年2月)の一部を変更し、賠償額を増額した。

 一方、一審が同種訴訟で初めて違法と判断した扶養手当の格差については「契約社員は原則として短期雇用が前提」などとして退けた。弁護団は5年基準も不服としており、上告する考えを示した。

 訴えていた8人は、大阪、兵庫、広島で郵便配達などを担当する有期雇用社員で、8種類の手当と2種類の休暇制度で格差の解消を求め、労働契約法20条が禁じる「不合理な格差」に当たると提訴していた。

 判決は、年末年始勤務手当などを支給すべき契約社員について「雇用期間が5年超」という新たな新基準を示した。有期契約が更新されて通算5年を越えると無期契約を申し込みができる労契法18条に触れ、「契約が長期間に及んだ場合、正社員と違いを設ける根拠は薄弱で、支給しないのは不合理」と指摘した。

 一審判決が違法性を判断しなかった夏期休暇などが取得できない点も、5年を越えた契約社員については違法と判断した。原告弁護団は、「5年を越えないと格差が是正されないと判断したのは、これまでの判決より後退」と批判した。

 一審判決は扶養手当について「職務の内容の違いで必要性が大きく左右されず、支給しないのは不合理」と指摘。年末年始勤務手当と住居手当についても格差は違法と判断し、双方が控訴していた。

 東日本裁判は昨年12月13日、東京高裁が住居手当と年末年始勤務手当の支払いを命じ、夏期休暇などが取得できない点も違法と判断した。日本郵便の非正規社員は約19万人。待遇の格差是正を求める判決が続いている。

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