厚生労働省は、「毎月勤労統計」の不正に続いて、「賃金構造基本統計」での虚偽も明らかになっている(毎月勤労統計の不正の概要は、本紙2月5日号1面に掲載)。厚労省にとどまらず、統計をめぐる不正は目白押しだ。
毎月勤労統計の不正は、2004年から始まったと報道されている。04年は第二次小泉内閣で、構造改革と規制緩和が強力に進められていた。当時の厚生労働相は、公明党の坂口力氏であった。
この年には、年金法の大改正(年金保険料の大幅な引き上げ・上限設定やマクロ経済スライド導入などを決定)が行われ、国会でもめたが、これは旧厚生省の管轄である。なぜ、旧労働省の分野の調査で、都内の従業員500人以上の事業所の全数調査をしなかったのかは明らかになっていない。しかし、小泉自公政権下で始まっており、自公政権の責任であることには変わりなく、免罪されない。
統計法は、07年に全面改正されている。旧「指定統計調査」が、現「基幹統計調査」に変更された。罰則も、今回の事案に関連すると、第60条で「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」は、「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」となっている。旧法の「六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する」と比して、罰金は5倍である。なぜ、この統計法の全面改正の際に是正されなかったのかも不明である。
今回の事件を通じて明らかになったのは、政府の統計職員の削減の実体である。資料1の「人口10万人当たりの統計職員数」を見ると、日本の統計職員数はフランスの6分の1しかならない。資料2の「府省庁別統計職員(本省職員)
数の推移」を見ると、統計職員数はこの10年間で66%(3695人)も削減されている。
厚労省本省の統計職員数も331人から237人に減らされている。現場の職員に責任を転嫁することは許されず、増員こそが求められる。
安倍首相は、1月28日の施政方針演説でも、賃上げなどの「アベノミクスの成果」を強調した。しかし、デタラメナ統計データで自慢する中で、労働者の可処分所得は増えるどころか下がっている。安倍政権は打倒しかない。
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