全労協結成30周年を記念する第31回定期大会と記念レセプションが9月29日、東京・蒲田駅近くの大田区産業プラザ内のコンベンションホール「鶯」で開かれた。
総評労働運動路線の継承
30年前、日本労働運動の構図が大きく変わった。労資協調路線に立つ連合、日本共産党の路線に立つ反連合の全労連、そして総評路線の継承・発展を期す全労協の誕生である。
現在50歳以下の在職労働者のほとんどは、総評(日本労働組合総評議会)の運動を知らないし、労組幹部を含めてストライキをやったこともない。
連合の30年とは、その間、独占資本は栄え、中小・零細資本はますます窮乏化する時代だった。その結果、労働者の間にも大きな貧困が増大し、そして現状認識の格差が生じている。
総評運動路線とは、「すべての労働者は団結し、資本と対抗して、自らの生活と権利を守る。そのためにストライキ権を行使する」「全ての働く者の利益を共有する革新政党を支持し、幅広い共闘を組む」という、ごくまともなものだったが、連合幹部には資本との良好な関係を危うくするものと映ったらしい。
国鉄闘争や地域闘争支援
全労協の当面の任務の第一は、国労の最大課題であった1047名の解雇撤回・職場復帰の闘争支援だった。
この解雇撤回闘争は妥協のない闘いだったが、自民党が政権を失い民主党が政権を握っていた時、事件発生以来24年ぶりに解決を見た。国労は解雇撤回闘争の正当性を再確認しながら、苦渋の決断として、1047名の解雇撤回・職場復帰の採用問題に終止符を打った。だがその代償として、一人2000万円以上の解決金などを得たことは、大争議として異例な成果だった。
第二は、地域労働運動の再建・発展の課題だった。連合は総評運動の柱である地・県評、地区労の解体を狙い、大企業の傘下に地方中小企業労組を統合し、再編成することを狙っていた。全労協は旧来の地方組織を中心に独立した組織を維持した。自主性・戦闘性は欠かせない条件だからだ。
現在、半数近くの都府県で、全労協地方組織が実効ある活動を続けているのは、心強い。
第三は、春闘の最構築、力強い再建である。全労協は労働者の生活実態を常に重視し、好不況にかかわらず、不当な低賃金にあえぐ労働者に対して、大幅賃上げを指導してきた。残念ながら大幅賃上げに成功していないが、要求は正しい。諦める事など決してない。
艱難30年 新たな任務が
全労協はその結成の任務を果たしつつ、艱難(かんなん)30年を耐え抜いてきた。これからの新任務についてロートルが語るのはやめよう。望むことは、2020年代は、大衆の前に大きく打って出ることである。
連合の30年は労働運動への無関心層を生んだ。労働運動の大義(春闘の再建、国民運動の具体的強化、安倍内閣の打倒など)の実現に向かって、労働組合の大結集を全労協が呼び掛けてはどうか。その根回しの力量は十分に、全労協幹部にはついていると思うのだ。
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