20春闘の集中回答日は、3月11日の金属労協(JC)、12日の通信・運輸等を中心にした回答があった。
賃上げの妥結額は前年を下回るところが多く、トヨタ自動車や日本製鉄などは、ベア・ゼロが続いた。経営側は、海外経済の動向と新型コロナウイルスの感染拡大を「危機意識」の材料にして、「生産性や消費の落ち込みが見込まれる」など、的外れの理由を羅列して賃上げにストップをかけた。
経団連は12月9日に開いた会長・副会長会議で、「20年春闘で賃上げを賞与を含めた維持する一方、職務や成果に応じて重点配分する指針」を示した。いわゆる「賃上げ否定、年間ベース」を強調しながら、「年功序列と一律配分を成果主義に転換」なども盛り込んだ。
その思いは、3月11日の集中回答日を終えた経団連の中西宏明会長のコメントが物語っている。「賞与・一時金の支給などの回答が多くみられたことは、率直に評価する。企業労使は、率直な意見交換を行い、建設的な労使関係のさらなる深化を遂げたい」と成果配分まで取り入れた労働組合に賛辞を贈る余裕で春闘を振り返った。
その結果として、労働組合に成果主義の意欲を引き出そうと、定期昇給にも評価のメスを入れる。4月からの労使交渉は人事評価に応じて定昇額の差を広げる仕組みが待っている。
労働生産性が上がっているのに賃金が上がらないのは日本だけである。世界でも特異な労使関係(ユニオンショップ)という構造問題がある。企業業績の悪化や先行き不透明感が強まれば、直ちに賃金抑制に向かうのは日本だけ。20春闘の賃金交渉の大詰めに、「第3四半期まで経営は好調だったが、新型コロナウイルスの影響で今年度の推定収入から、8億円近くの減収が見込まれる。組合の要求に応えることは難しい」などを経営側は繰り返す。
連合は3月19日、2020年春季労使交渉の2回目の回答集計結果を発表した。定期昇給と基本給の底上げ部分を示すベースアップを合わせた賃上げ率は平均1・94%で、19年春闘の第2回集計時に比べ0・19%ポイント低下した。定昇を含む賃上げ額は同595円減の月額5880円だった。19日で1051組合への回答状況をまとめた。300人未満の中小組合の賃上げ率は同0・01ポイント増の2・03%、賃上げ額は同20円減の5163円だった。
大手企業の回答が出そろった13日時点での賃上げ率は平均1・91%。トヨタ自動車など大手でベア見送りが相次ぎ、13年交渉以来7年ぶりに第2回集計で2%を下回った。ポイントは回を重ねるごとに下降し、最終結果は1・80%まで落ち込みが見込まれる。 |