『働く者の生活守れ』県に緊急な申し入れ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、労働者は犠牲を強いられている。とくにフリーランスや非正規労働者は深刻だ。ひょうごユニオンなど4団体が行った電話相談では、生活不安や解雇不安、賃金カットなど悲痛な声が寄せられた。ユニオンは兵庫県等に申入れた。
新型コロナウイルスの感染拡大にともなう学校一斉休校、各種イベント自粛などで経済活動が急速に縮小し、労働・雇用問題が急増している。
こうした状況を受けて、ひょうごパートユニオンネットワーク、ひょうごユニオン、NPOひょうご働く人の相談室、NPOひょうご労働安全センターの4団体は「新型コロナウイルス労働・雇用ホットライン」を開設した。電話相談は3月6日から16日までの間で100件を超えた。
ホットラインを共催した4団体は相談内容をとりまとめ、3月16日に「緊急要望書」として兵庫県と兵庫労働局に申し入れた。
この申し入れの中で、新型コロナウイルス感染拡大などを理由に働く者が仕事や収入を失い困窮することがあってはならない。働く者の収入と雇用を守るための効果的な措置を講じるとともに、国に対する働きかけを強めてほしいと訴えた。
非正規からの相談増加
相談者の内訳をみると、雇用形態では正規労働者は4件にとどまり、相談者の大多数は契約社員、パート、派遣などの非正規労働者だった。また、フリーランス、個人請負や小規模経営者からの相談も多数あった。
非正規労働者の増加により、格差社会の進行が問題になっているが、今回のような非常事態になれば、真っ先にダメージを受けるのは不安定雇用労働者であることが改めて浮き彫りになった。
生活、雇用不安
ホットラインで明らかになった第一は、イベント中止、学校一斉休校の措置が経済活動の急激な縮小を招いていることだ。その結果、流通、小売り、飲食、娯楽、交通などの分野で事業悪化が進み、深刻な生活不安・雇用不安を生み出している。
第二は、雇用形態でいえば、契約社員、パート、派遣などの不安定雇用労働者を直撃する形で不安が広がっている。同じ休業でも「正規には休業手当があるが非正規はない」という訴えも多い。
第三は、学校の一斉休校は給食従事者や事務、用務員、スクールバス関係者らの休業問題と、子ども保護者の休業問題を生じさせている。保育所や学童保育の労働者はその狭間で苦労している。
第四は、政府の緊急支援策も「泥縄式」で公平性を欠き、混乱を生んでいる。例えば、休校にともなう保護者の「休業補償」では労働者とフリーランスの格差や申請方法について。保護者とは別に登録派遣や個人請負の助成制度についての問い合わせがあった。
第五は、使用者の「安全配慮義務」に関する問題である。マスクとアルコール消毒液が、介護施設や学童保育、保育所でも確保できていない実態が明らかになっている。
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