新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言によりタクシーの売上げは約7割減となった。政府の救済策が不十分な中、兵庫県のあかし地域ユニオンは労働者の生活を守るため厳しい闘いを続けている。
あかし地域ユニオンには、2つのタクシー分会(ファイブスタータクシー分会、山陽タクシー分会)があり、それぞれ10名を超える組合員を組織している。そして、コロナ感染症の拡大による「自粛要請」で売り上げは激減し、すべての組合員の生活を直撃している。
ファイブスタータクシーは、ここ数年合理化を繰り返し、そのつど組合員の雇用と労働条件を守るため難しい交渉を重ねてきた。
そして会社は4月13日に、「長期的に会社を維持し雇用を守るため」との理由で「コロナウイルス蔓延に対する雇用対策」を提案してきた。それはユニオン側の予想を超える厳しい内容で約160名の乗務員に対して、@休業補償(60%)A希望退職の募集B3割程度の事業継続の3つの中から選択を迫る内容であった。
組合員は驚き失望もしたが、この日は会社存続の決意など、いくつかの指摘にとどめた。ユニオンは、問題点をまとめ4月16日に緊急の団体交渉を開催して、@会社存続の決意と展望、A休業手当の増額、B営業継続の強化、C退職者への対応、D乗務員の感染防止対策、E事業本格再開時の労働条件などを求め会社から一定の回答を引き出した。
続けて4月23日にはユニオン側から合意書案を提示して交渉し、「事業再開時は従来の労働条件に戻す」など組合員の不安に一定程度は応える内容を確認することができた。
妥結後、組合員は厳しい生活を余儀なくされているが、コロナ禍の会社提案の中で分会組合員の呼びかけに応えて3人が新たにユニオンに加入した。
一方、山陽電鉄を親会社に持つ山陽タクシーは、3月の売り上げが大幅に減少し、4月はさらに悪化するとの見通しを4月8日の交渉で明らかにした。ユニオンは早急にその後の対策を求めたが、会社からは勤続給の引き上げと4月賃金に減収対策として10%加算するとの回答を得た。
会社は、4月下旬には全乗務員平等に、通常勤務に70%支払いの休業を入れると提案をしてきた。組合員と相談して同意することになった。十分な妥結内容ではなかったが、会社に強く求めたことに組合員からは、「組合があってよかった」との声が聞かれた。
あかし地域ユニオンは、コロナ感染症拡大により、集まることも難しい中で、組合員を激励するために手作りしたマスクを届ける活動を行ってきた。まだまだ先の見えない状況が続いているが、知恵を出し合い、労働者の雇用と生活を守るため奮闘を続けていく。
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