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  4. 2020.06.23
 
コロナ渦での要望を無視
一部で時差出勤認めず 東京都・練馬区役所 

 図書館は不特定多数の利用者を対象とし、窓口業務等対面での近接した接客が欠かせない職場であるため、コロナ禍で感染者が一人でも出れば集団感染が避けられない状況と誰もが認識していた。 

 しかし、労組役員が東京都練馬区の図書館長に感染予防対策を求めても、マスク、消毒薬は手に入らないなど十分な対策が取られなかった。そのため職場では感染への心配、恐れが極度に高まった。

 練馬区は3月3日、新型コロナウイルス感染時と学校休校に伴い就労が困難な場合は、賃金が全額補償となる「欠勤(事故)」扱いを決定した。そして12日、定型勤務の職場は時差出勤を導入した。

 しかし、区内の図書館や保育所など出退勤時間が一定ではない非定型勤務の職場は対象外となった。このため、持病等で感染・重症化リスクの高い職員や介護中の同居家族がいる職員からは、通勤時の満員電車での感染に対する不安が寄せられた。なかには年休をとって満員電車を避け、年休が尽きれば欠勤で対応するという職員もいた。

 図書館は3月末に新型コロナの感染拡大に伴い土曜、日曜は休館となったが、全員出勤が求められた。他の自治体の図書館職員は有給での自宅待機などが実施されはじめ、政府や都から出勤縮減要請が出される中で、有給による時短などが職場の強い要望になった。

 しかし、練馬区はこうした動きに対しても職員は区民生活を守るために「今まで通り働け」といった姿勢で、労働安全衛生法や労働契約法に定められた安全配慮義務(別記参照)を果たそうとはしなかった。

 図書館が「出勤者の縮減」に動いたのは、緊急事態宣言で出勤8割減の「外圧」によるものであった。

 また、区内の保育園職場では、通園自粛で園児が減り仕事が減ったことを理由に年休を取得させられるということが起きた。この問題は、職員課への申し入れで是正したが、表に現れないところでこれに類した問題はあると思われる。

 図書館はマスクや消毒薬などが配備され、窓口のカウンターへのシールドなどが設置された上で、6月から予約貸出しのみ再開となった。労働者の安全と権利を守るため労働者の団結と運動を強めていかなければならない。

  通勤で新型コロナの感染が心配
 使用者は時差出勤を認めるべき
   =労働弁護団Q&A要旨=

 Q満員電車の通勤が不安なのに、会
  社は時差出勤を認めません。どう
  したらよいでしょうか。
 A感染予防の観点から時差出勤が必
  要であることを理由に、使用者に
  時差出勤を求めましょう。
  事業者は、労働災害等を防止する
  義務があり、また快適な職場とす
  るよう努める義務があります(労
  働安 全衛生法3条1項)。労働契
  約法上も使用者には、労働者の健
  康等について、安全配慮義務があ
  ります(労働契約法5条)。
  朝の通勤電車は、新型コロナウイ
  ルスに感染するリスクがあるもの
  と考えられます。会社は、労働者
  の要望に応じて、できる限り時差
  出勤を認めるべきでしょう。

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