最賃(最低賃金)は、法律に基づき国籍を問わず全ての労働者に保障された賃金の最低額。毎年、厚労省の審議会で協議し引き上げの目安は7月下旬ごろに決まる。
最賃の全国加重平均額は901円。1日8時間、週40時間働いたとしても年収は190万円程度にしかならない。最賃付近で働いている非正規労働者は、コロナ渦で収入が減った割合が高く、持続的な生活を支えるために残業な しで「8時間働けば生活できる」最賃の引き上げが必要だ。
東京の練馬全労協は、全労連と共同で毎月、最近大幅引き上げのビラ(写真)をポケットティッシュに折り込んで配布しながら街頭宣伝を行っている。このように全労協などは、コロナ渦だからこそ「最賃は全国一律、時給1500円」と訴えている。
安倍首相は6月、「コロナによる雇用・経済への影響は厳しい」と最賃抑制の考えを示
全労協の街宣(写真上) 東京・練馬
最賃ビラ(写真下)毎月ポケットティッシュ
に折り込み配布している |
したが、過去の教訓を生かしていない。リーマン・ショック時、欧米諸国が賃上げによる内需拡大で危機を比較的早期に脱した。これとは対照的に日本政府は、最賃の引き上げ率を1%台に抑制し企業競争力優先の政策をとった結果、リストラと賃下げで長期の経済停滞を招いた。
この間の労働組合などの運動で、従業員の休業手当の一部を補助する雇用調整助成金は日額上限が2倍近くの1万5千円に引き上げられた。これを時給換算すると1041円から1875円に引き上げられたことになる。つまり、現在の最賃では生活は成り立たないことを示している。
最賃の地域間格差は223円と広がっており、若い労働力は都市部に流出し、地方が疲弊している。大都市圏の「3蜜」を避け、労働者の暮らしを守り、経済の落ち込みを抑えるために、最賃の全国一律と1500円の引き上げは、コロナ渦だからこそ重要だ。
そして、中小企業に対しては、消費税や人件費、社会保険料などの負担軽減策として税金を投入して支援することが必要だ。
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