選択できる仕組み
日本フリースクール大会(略称、JDEC)が2月4、5日に東京・国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、180人が参加しました。
主催はNPO法人フリースクール全国ネットワークで、昨年に結成10周年を迎えました。JDECは、今年で4回目となります。フリースクール同士の実践交流や社会への発信を目的に始まったもので、第1回から積極的に「政策提言」を採択、不登校の子どもへの人権保障と成長支援、多様な教育が選択できる仕組みをつくることなどを目指し活動してきました。
政策提言のなかで、とりわけ注目されているのが、現在の学校教育法以外に、憲法・教育基本法の下に「オルタナティヴ教育法」(仮称)のような新しい法律を創り、フリースクールやホームエデュケーションなどの教育を社会的に認められる制度にしていこう、という動きです。
 |
180人が参加し一歩前進を確認できた
日本フリースクール大会 |
すでに2年間、「新法研究会」では盛り込みたい内容を骨子案にまとめ、フリースクール環境整備推進議員連盟の寺田学事務局長を通して法制局に提出、やりとりをする段階にきています。
この動きを広げようと、今回の大会では前の3回と違って、フリースクール関係者のみならずシュタイナー教育や外国人学校のサドベリースクールなど、オルタナティヴ教育の関係者に参加してもらい、共に取り組んでいこうという気運を盛り上げることができました。
教育を受ける権利
基調講演では「日本の教育を〈学ぶ権利〉から捉えなおす」というテーマで、喜多明人さん(子どもの権利条約ネットワーク・早稲田大学教授)は、「学ぶ権利は学ぶ側に立って考え、自分らしく学べているかが重要だ。教育を受ける権利は子どもの権利条約にある教育への権利≠ニ考える必要がある。憲法で言う基本的人権としての普通教育は、学校教育に閉じ込められものではなく子どもの学習権を考えに入れると多様な教育を選べるようにする必要性がある」と述べました。
この話を受けて議論に入りました。1日目は、増田良枝さん(フリースクール)、吉田敦彦さん(シュタイナー教育)、小貫大輔さん(ブラジル学校)、杉本美津子さん(ホームエデュケーション)の4人によって「多様な教育が未来をひらく」のテーマでシンポジウムが行われました。
それぞれの実践や学習指導要領以外の独自の教育の必要性と新しい法律への期待が語られました。そのなかで、小貫さんは「日本は現状追認型の国。声をあげないと現実は変わらない」と熱を込め、「政府の教育以外にオルタナティヴ教育が存在するのが先進国では主流だ」と訴えました。
幅広く呼びかける
2日目は、オルタナティグな教育で育った子ども、若者が登壇。「私たちはこの学びを選んだ」というテーマでシンポジウムを開き、体験を語ってくれました。
語ったのは次の4人です。神谷莉沙子さん(藤野シュタイナー学園・高校3年生)、ラファエル・カイヤさん(ムンド・デ・アレグリア学校・高校2年生)、石本恵美さん(フリースクール東京シューレ出身で映像会社を起業)、前澤圭介さん(ホームエデュケーション育ちで生協職員)。
話を聞いて、それぞれの学び、育ちが大切なのだということを実感しました。 さらに、テーマ別に5つの分科会があり、交流会やミーティングをもちましたが関心が高かったのは新法でした。
ミーティングでは「オルタナティヴ教育法を実現する会」を幅広く呼びかけ、新たに結成し、活動していくことを採択しました。これによって、骨子案を研究していた段階から一歩前進を確認することができたイベントとなりました。
|