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熱心に交流された集会 |
「木村百合子さん公務災害認定裁判勝利をめざして」が6月23日、明治大学(東京・駿河台)で開催された。共催したのは、「故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会・東京」と「学びをつくる会」。
2004年9月、静岡県市磐田市で新人教師、木村百合子さんは通勤途中に自ら命を絶った(享年24歳)。地方公務員災害補償基金静岡支部(以下「基金」)は3年後に「公務外」と認定、再審査請求も棄却され、両親は、「公務外処分取消」を求め2008年に静岡地裁に提訴した。裁判は3年余に及び昨年12月15日「公務外災害認定処分取消」の勝利判決が出された。しかし、これを前例としたくない被告「基金」は控訴、12年5月10日に東京高裁で弁論、即日結審した。
集会は判決を前に再度静岡地裁の意義を確認し、勝利判決を目指すことを目的に開催された。
集会で「故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会・東京」代表の久冨善之さん(一橋大学名誉教授)は、地裁判決の意義を次のようにまとめた。
静岡地裁判決は、時間外労働の不当性に触れていないという不十分性はありつつも、@木村百合子さんが置かれていた学級の状況が、きわめて困難であった、A百合子さんが自死に至るまでの学校内での支援体制が、不十分であった、B木村百合子さん個人に責任の所在を求めるという方法論を一蹴した、という点で、今日の全国の学校で多かれ少なかれ見られる「課題」を指摘する重要な判断を下した。
集会には多くの若手教員が参加していた。それは、この間「学びをつくる会」の学習会で若手教員が職場の悩みを出し合い、交流する機会を積み重ねるなかで木村裁判の学習を進めてきた結果だ。集会で発言した小学校教員は、「自分の教育実践の『失敗』に対して、管理職は『学級担任からはずす』ということで対処し、今でも恫喝まがいのことを続けている。でも、自分のやったことを、職場の先輩や仲間、そして組合と振り返るなかで、『自分もなかなかやる』と思えるようになってきた」と発言した。また故百合子さんの母、和子さんは、「ぜひ高裁で勝利し、学校を変えていかなければ」と語った。
高裁判決は、現在の学校現場の問題点を掘り下げる極めて重要な意味を持つ。次回東京高裁判決、7 月19日(木)午後1時15分東京高裁717法廷(予定)
(湯本雅典)
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