第一次安倍内閣で教育基本法を改悪した安倍晋三首相は、「戦争をする国」にするために憲法改悪の動きを強めており、教育分野では制度改悪や「国定教科書」の実現を策している。これに対し、教育改悪を許すなと10月29日、東京・永田町の衆院第二議員会館で、「子どもの人権歴史認識教科書」をテーマに集会が開かれた。
集会では、子どもと教科書全国ネット21の俵義文さんが基調報告し、5・3憲法集会実行委員会の高田健さんが憲法問題、「慰安婦」問題解決全国行動代表の梁澄子さんが歴史認識・慰安婦問題、元中学校教員の綿貫公平さんが子どもの貧困、武蔵大学教授の永田浩三さんが『はだしのゲン』閲覧問題で、それぞれ発言した。
俵さんの基調報告は、大要次の通り。
安倍内閣は、戦後最悪の極右内閣。歴史修正主義者の顔ぶれで占められている。下村博文・文科相をはじめ歴史を否定する人たちを大臣、副大臣、政務官に入れ、「教育再生」という名の教育破壊を進めようとしている。
日本政府は、1982年の「宮沢官房長官談話」で、教科書検定で侵略戦争や加害の事実、植民地支配の事実を歪めることはしないと表明し、「近隣諸国条項」を作った。その後、河野談話、村山談話を出している。
安倍内閣は、これらの談話を見直し、教科書から侵略戦争や植民地支配など加害の記述をなくすために検定制度を大幅に変え、学習指導要領も大幅に変えることを考えている。
さらに、文科相が教科書に「こういうことを書け」と指示できるようにすると言っている。わずかに残っている執筆者の裁量の余地は、ほとんどゼロになる。教科書は、国定教科書と同じになる。
しかし、そういう教科書を作っても、教員が忠実に教えなければ効果は出ないので、教員を今まで以上に統制し、政府の言う通り、あるいは文科省、都道府県、市町村の首長、さらに教育長、その指示を受けた校長の言う通りの授業を行う、教育ロボットを作る教員統制策を考えている。
安倍政権は、戦前と同じ強力な中央集権体制で、彼らが目指す人材育成を考えているが、その「人材」は、日本の企業がグローバル競争に勝ち抜いていくための「材」だ。
もう1つは、憲法を変えて自衛隊を国防軍にし、集団的自衛権の行使で米軍と一体となって世界のどこででも戦争をする兵士を作り、その兵士を支える人間を育成すること。
そういう意味で、安倍政権がやろうとしている教育改革は、憲法改悪の動きと一体だ。
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