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2014.4.1
子どもに学びの喜びを(上)
教育劣化の原因 




 学校の危機が叫ばれる中、3月16日に千葉県松戸市で講演会「子どもに学びの喜びを!―今求められる教育改革とは―」(主催・松戸の教育を考える市民フォーラムなど4団体)が開かれ、講師の佐藤学・東京大学名誉教授が要旨次のように話した。


 安倍政権の「戦争のできる国」づくりにより教育現場は混乱し、一種の暴走状態にある。教育委員会制度改革が責任の明確化を掲げて進められているが、権限を教育委員会ではなく政府に集中するものだ。GDPに占める教育予算比は、OECD調査によると日本は31カ国中31位。1位がルクセンブルク、2位がスウェーデン。日本は50〜70年代はトップだった。
 戦後教育は平等の実現を目指し、超党派で教育を良くしようとした。教育基本法成立時の国会議事録を読むと、文部省が「金がないんです(号泣する)」とある。それがこんなにひどい状況になったのはなぜか。
 一つは要生活保護世帯が増え、子どもの貧困化が深刻になったことがあげられる。日本はOECDでワースト4、5位。片親世帯の50・7%が貧困世帯。女子中学生が給食でしか食事をとっていない例もある。以前は「荒れた学校」が問題になったが、最近は荒れていない。社会に希望を見出せず、日陰のように生きている。
 教師の自由がなくなったことも原因だ。週平均52時間働き、超勤手当なし、世界でこんなに働いている国は他にない。過去12年間に給与を下げた国は仏、スイス、日本の3カ国だけ。しかも、仏やスイスは2%程度の引き下げだ。教師の教育水準は、70年代に大学レベルになった。米欧は80年代に大学院レベルになり、台湾や韓国でほとんどが修士号を取っている。
 教育改革は地方分権化が世界の趨勢だ。教科書の採択、教育計画などは学校で決めている。教科書を学校や教師が決められないのは日本と中国だけだ。
 安倍政権は破壊する保守主義、愛国心のかけらもない。志低く虚妄の時代になった。
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