安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワーク主催の東京の市民集会で3月5日、俵義文さんは今年の中学校教科書採択に際して、多くの闘いの統一で、つくる会系の国防教科書阻止を訴えた。
今年は4年に1回の中学校教科書採択が行われる。
過去4回の採択とは違った条件がある。それは、@安倍政権の「戦争する国」の「教育再生」政策、A地方教育行政法改定による教育委員会制度改悪、B日本教育再生機構(以下、「再生機構」)による教育再生首長会議の結成、C安倍政権・自民党、日本会議などの改憲をめざす「国民運動」の展開、F安倍政権の「戦争する国」の諸政策と国民との矛盾が増大し、安倍政権の暴走を止めようとする市民運動の広がりの中で行われる採択だ。
「再生機構」などは、安倍政権の歴史認識と同調しながら、日本軍「慰安帰」否定、『朝日新聞』叩き、南京大虐殺否定、植民地支配は悪くなかったなど歴史修正のキャンペーンを展開し、それによって自分たちの教科書採択に有利な状況をつくろうとしている。
そして、自民党は「つくる会」系教科書採択推進のパンフレットを作成し、議会決議の案文や議会質疑のQ&Aを作成した。今年の採択でも、「再生機構」、「教科書改善の会」や「つくる会」の採択活動を全面的にバックアップし、さらに、日本会議、日本会議地方議員連盟と日本会議都道府県本部及び支部が共同連携して、15年採択で育鵬社版、自由社版教科書の採択増加をめざしている。
統一した闘いをつくろう
今年は戦後70年であり、教科書問題では、第一次教科書「偏向」攻撃開始から60年、家永第一次教科書訴訟提訴50年でもある。安倍「教育再生」政策は、@グローバル競争に勝ち抜くための大企業(無国籍企業)が求める「人材」育成(新自由主義)、A「国防軍」とそれを支える「人材」育成(新国家主義)をめざすものであり、どちらの「人材」育成にも「愛国心」「道徳心」が不可欠であり、そのために教育・教科書を利用する。
安倍「教育再生」政策の内容である育鵬社版、自由社版教科書は、グローバル企業と「戦争する国」のための教科書である。いまや、脱原発の運動は毎週金曜日の官邸前集会をはじめ、全国各地で展開され、節目ごとに3つの主要な脱原発・反原発団体による大きな集会やデモが行われている。秘密保護法反対の運動も終わらず廃止に向けた実行委員会があり、各地の実行委員会のネットワークもできている。
消費増税やTPP反対、普天間・辺野古・高江・オスプレイなどの基地反対、社会保障改悪反対、「慰安帰」・歴史認識・戦後補償問題、子育て(保育園問題など)、ブラック企業反対・労働法制改悪反対、反貧困など、どれをとっても個別課題の運動は大きな力と広がりを見せている。それぞれの個別課題を解決、前進させるためにも、他の課題の市民運動などと連携・共同する必要がある。
公立小・中学校の教科書採択は、採択地区ごとに行われる。最初に述べたような状況、条件の下では、全ての採択地区で育鵬社、自由社教科書が採択される危険性がある。これを阻止するために、それぞれの地域で、「育鵬社、自由社教科書NO!」の大きな世論をつくる必要がある。
各地域の様々な課題を掲げて活動する市民組織や労働組合など―憲法(九条の会など)、脱原発、秘密保護法廃止、基地反対、消費増税反対、TPP反対、社会保障改悪反対、「慰安婦」・歴史認識・戦後補償問題、子育て(保育園問題など)、労働法制改悪反対、反貧困の諸組織など―に働きかけ、「つくる会」系教科書を採択させない地域的な協同・共同をつくりだす必要がある。これができれば、「つくる会」系教科書の採択を阻止する可能性と展望が出てくると思う。それだけではない。こうした運動が各地域でとりくまれれば、先に述べたような安倍政権の暴走を阻止する全国的な「統一戦線」を地域からつくっていく条件をつくりだすことにもつながると思われる。そこに私たちの闘いの展望がある。
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