全国自治体労働運動研究会では、社会保障や再分配、貧困・格差の問題をとおして、新自由主義、アベノミクスに対抗する新たな社会・国のかたちを考えてきた。2014年1月、子どもの貧困対策法が施行された。15年度を「子どもの貧困対策元年」と位置付けた東京・足立区の状況を中心に報告する。
06年、OECD (経済協力開発機構)は対日経済審査報告書で日本の相対的貧困率が13・5%、米国に次ぐ第2位と報告した。加盟国の平均8・4%を大きく上回り、日本は貧困大国との認識が広まった。14年、厚生労働省が国民生活基礎調査(12年)の結果を発表。相対的貧困率が16・1%、相対的貧困世帯で暮らす18歳未満の子供を対象にした「子どもの貧困率」は16・3%と、いずれも過去最悪を更新した。
内閣府の平成26年版『子ども・若者白書』では、子どもの相対的貧困率は1990年代半ば頃からおおむね上昇傾向にあり、09(平成21)年には15・7%、子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は14・6%、そのうち、大人が1人世帯の相対的貧困率が50・8%と非常に高い水準となっている。
子どもの貧困は、心身の成長に非常に大切な時期に、発達に必要な様々な機会が奪われることを意味する。栄養の不足や健康的な生活の欠如は身体的な成長を阻害し、また、学習機会や体験の不足は低学力や低い自己評価につながる。貧困が人生全体に大きな、多くのマイナスの影響を与える。しかも貧困は次の世代に連鎖する。
本来は社会全体で子どもの成長・発達を保障すべきなのに、親や家庭に責任を押し付けている。子どもの貧困の拡がりは、一人ひとりの人生を制約するとともに、将来の日本社会に与える負の影響は避けられない。
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