奨学金という借金を背負う若者の急増が社会問題化しているなか、誕生した奨学金問題対策全国会議設立3周年集会が4月2日、東京都内で開かれた。
基調講演「貧困は世代を越えて!」をNPO法人ほっとプラス代表理事で聖学院大学客員准教授の藤田孝典さん、基調報告を「奨学金その後〜次なる課題・前進に向けて」を中京大学教授の大内裕和さんが行った。
藤田さんは貧困が10代から80代の深刻な問題になっている現実、国民の相対的貧困率がOECD加盟国34カ国中6番目の16・1%であることを明らかにして、若者も下流老人も世代を越えての運動を提起する。そのために共感を求める解りやすい言葉、「ブラック企業、ブラックバイト、下流老人、保育園落ちた」など等価性の連鎖を起こして、貧困の可視化を行いたい、そして制度疲労により社会保障が瓦解して、一家が破滅している新自由主義との決別をはかり、子どもが自由な進路選択できる環境をつくりたいと主張する。
大内さんは次のように報告した。
2013年から運動によりマスコミ報道の変化が生まれ、若年層のバッシングから奨学金制度・日本学生支援機構への批判が始まった。そして、14年度から延滞金賦課率の削減、返還猶予期限の延長、無利子奨学金の増加、有利子奨学金の削減となるが、給付型奨学金は実現していない。
今夏の参院選で奨学金制度の改善を公約に入れるよう政党、地方議員にあらゆる手段を通じて働きかけるのが重要だ。
その後、事例報告や、当事者や若い世代の活動が報告された。
そして、全国会議事務局長の岩重佳治弁護士から「所得連動返還型奨学金制度の嘘」について報告された。
これまでの運動を大きく支えてきた労働者福祉中央協議会の北村祐司さんがこの間のアンケート報告を行い、教育費負担の軽減を求める署名が301万筆を超えていることを報告した。
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