昨年5月28日、東京高裁(須藤典明裁判長)は河原井純子さんと根津公子さんの07年「君が代」不起立による停職6カ月の処分取り消しと損害賠償を求めた裁判で、根津さんの停職6カ月の処分の取り消しと河原井さん、根津さんの損賠(各10万円)を認める判決を出した。河原井さんの停職3カ月処分については地裁で処分取り消しになり、都は上告していない。
敗訴した都教育委員会は、根津さんの停職6カ月処分と2人の損賠について、上告及び上告受理申し立てをしていたが、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は、5月31日付で都の「上告を棄却」し、「上告審として受理しない」ことを「裁判官全員一致の意見で決定した」との「決定」を出した。
12年1月16日最高裁は「職務命令は違法とは言えない」として戒告を容認していたが、「戒告を超える重い処分は違法」とし、根津さんを除くすべての人たちの減給以上の処分を取り消している。
「過去の処分歴」「不起立前後の態度等」(2つを一緒にして「過去の処分歴等」という)がある場合は「戒告を超える重い処分」も可としていて、根津の停職3月処分を取り消さなかった。
しかし、昨年の高裁・須藤判決は、根津さんについて、06年処分から07年処分に至るまでの間に処分を加重する新たな個別具体的な事情はないとして、停職6カ月処分を取り消した。
これは「停職6カ月処分を科すことは、…自らの思想や心情を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり」と判じ、憲法19条の実質的侵害に踏み込んだ判決だった。
根津さんは「須藤判決が確定して本当に嬉しい、勝訴判決を手にできたのは、大勢の方が支援して下さったおかげです。ありがとうございました」と語っている。なお、2人の裁判は08年、09年の不当処分に関する裁判が係争中だ。
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