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2016.08.02
処分乱発に歯止め
「君が代」不伴奏の停職処分取消し

  

 都教委の他事考慮≠断罪


 
定年退職直前の卒業式での君が代<sアノ不伴奏により、東京都教育委員会に停職の懲戒処分を受けた岸田靜枝・元豊島区立小学校教諭(66歳)が、取消しなどを求めた裁判の控訴審で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は7月19日、都側に処分取消しを命じた上、今後の処分乱発に歯止めをかける判決を出した。
 岸田さんはクリスチャンの信仰上の理由等から君が代#コ奏はできないと繰り返し表明したが、校長が職務命令を発出。予行時から別の教諭がピアノ伴奏し、2010年3月25日の式はその伴奏で進行したが、都教委は過去4回の不起立等の処分との累積で停職1カ月処分を発令。岸田さんは現役最後の31日、欠勤扱いにされた。
 高裁判決は地裁判決を踏襲。職務命令については「原告の信教の自由の制約となる面はある」と認めつつ、「憲法20条(信教の自由)に違反するものでない」としたが、処分量定については、都人事委員会が停職を減給に修正″ル決したものも「社会観念上著しく妥当を欠き、違法」と断じた。
 高裁が違法とした新たな理由は、裁決が@考慮すべき事項を十分に考慮せず、A考慮すべきでない事項を考慮した(他事考慮)、からだ。
 @は、「不伴奏が信教の自由などによるという事情」「別の教諭のピアノ伴奏で式が具体的な支障も混乱も何ら生じず進行した事実」を挙げた。Aは、都側が不伴奏を「国歌斉唱時の伴奏拒否という危険性を内包する非違行為」と主張している点だ。高橋拓也弁護士はこれを「踏み込んだ重要な判示だ。今後、都教委は判断基準にしなければならなくなる」と強調した。
 また高裁判決は、君が代¥分と「一般の非違行為」(体罰・セクハラなど)とを「同列に論じる」都側の主張も、「相当ではない」と断罪した。 司法記者クラブで、岸田さんは「皆でずっと闘い続けてきてよかった」と語った。一方、中井敬三都教育長は「判決は遺憾。内容を確認し、対応を検討する」とのコメントを出した。。(教育ライター・永野厚男)


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