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2017.06.27 
朝鮮学校への補助金停止
教育権の侵害だ


 
 茨城県が今年度から茨城朝鮮初中高級学校への補助金(昨年度160万円)を停止したことに対し、朝鮮学校の子供たちの人権を守る会・茨城など5団体は、抗議や継続を求める署名、質問書の提出などを行ってきたが、質問に対する回答期限の6月9日、県庁で対県交渉を行った。
 交渉には5団体側から30名が出席、県側は小又眞澄総務課長、私学振興室長の小野瀬篤郎室長が対応した。予定された1時間では、@補助金の停止と学習権の侵害、差別、A政治外交問題と子どもの教育など9項目の質問に対する回答についてただすことができず、9月の知事選後に改めて行うことになった。
 朝鮮学校への補助金を巡っては、文科省が昨年3月、朝鮮学校を認可している都道府県に対し「交付目的に沿った適正な支出」を求める通知を出しているが、通知を「忖度」して補助金を停止したのは茨城、三重、和歌山の3県。茨城県は橋本昌知事が、2月20日の記者会見で「北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射した」ことなどを挙げ、補助金停止の方針を明らかにした。
 一方、愛知県は「ミサイルや核実験と子どもたちの教育は分けて考える」、滋賀県は「通知に基づいて調査したが、教育内容に北朝鮮の影響はないと判断した」などと11県でこれまで通り補助金を交付するとしている。
 質問書の「補助金の停止は学習権の侵害」との指摘に対し、県の回答は「補助金休止は、文科相通知により、北朝鮮と密接な関係を有する朝鮮総連の朝鮮学校への影響が示されたことや北朝鮮により日本の安全を脅かす行為が続いていることなどによるもの」と政治外交上の理由をあげた。
 また、「公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合は、無償で受け入れており、教科書の無償給与、就学援助を含め、日本人と同一の教育を受ける機会を保障していることから、学習権を侵害しているとは考えない」と露骨に朝鮮学校を否定、同化政策を示している。
 政治外交問題と子どもの教育について県の回答は、「今回の補助金休止は政治外交問題を国内の子どもの教育と結び付けているものではない」としているが、「学習権の侵害」の指摘に対する回答と矛盾する。
 質問書の、B民族学校の歴史と朝鮮総連の教育支援、C国連人種差別撤廃委員会の総括所見、D差別排外主義が強まる中での補助金停止、E補助金に反対する県民へのあるべき対応、F学校への実地調査で指摘したとする疑問点、G民族教育保障への認識、H補助金の復活に向けた対応について県の文書回答はあったものの、次回に持ち越された。(茨城・坂本)