2017.08.15
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朝鮮学校の無償化除外 違法で無効 |
原告が全面勝訴 |
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国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法として、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)が処分の取り消しと適用の義務付けを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(西田隆裕裁判長)は7月28日、原告側の全面勝訴を言い渡した。同種訴訟で初の判決だった広島訴訟の判決(7月19日)と逆の結論となった。
西田裁判長は判決理由で、国が朝鮮学校を無償化の対象外とする省令改正をしたのは「拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られないという外交的、政治的意見に基づいたものだ」と指摘。下村博文文科相(当時)の判断は、教育の機会均等の確保とは無関係なもので「法の趣旨を逸脱しており違法、無効」とした。
国側は朝鮮学校について、北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連) との関係を挙げ、生徒に対する就支援金が授業料に充てられない懸念があると主張したが、判決は大阪朝鮮高級学校が法令違反による行政処分などを受けたことはなく、特段の事情がない限り無償化が認められるべきだとして退けた。
広島地裁判決は、「国の判断に裁量権の逸脱、乱用があるとは認められない」として原告側の請求を全面的に退けた。
高校無償化制度は民主党政権当時の10年4月に導入され、当初は朝鮮学校も審査の対象となったが、同年11月の北朝鮮による韓国砲撃で手続きが中断。直後に適用を申請した大学阪朝鮮学園に対し、文科省は再び自公政権となった後の13年2月、拉致問題などを理由に対象外とした。
広島、大阪に続き、今後、東京、愛知、福岡で判決が出される。
大阪朝鮮学園は判決を受けて同日、「日本政府は判決を真摯に受け止め控訴すべきではない」とする要旨次の声明を発表した。
本日の判決は、行政の不当な差別行為を、司法が取り消すという画期的なもの。公正で平等な判断を下すべき司法が、強大な行政権力の意向を忖度せず正当な判決を下した。
朝鮮学校で学んでいる多くの子どもたちの教育への権利が改めて認められ、保障され、我々の民族教育は正当で、民族教育は法的保護に値する権利であることが証明された。
「教育への権利」は、差別があってはならず、平等でなければならない。学習権、こどもの権利は、何人も侵してはならない世界共通の神聖な権利である。
日本政府は判決を真摯に受け止め、控訴することなく、速やかに停止していた7年間の「就学支援金」を支給するよう強く求めるとともに、国家による「民族差別」をやめ、地方自治体の補助金再開を強く求める。
朝鮮学校
戦後、在日朝鮮人が子弟に朝鮮語を教えるため各地に設置した「国語講習所」が前身。学校教育法上は「各種学校」の扱いで、都道府県ごとの学校法人が運営する。
文部科学省によると2016年5月現在、日本の教育課程に合わせた幼稚班、初・中・高級学校が28都道府県に66校(休校5校)あり、児童・生徒数は6185人。うち高級学校は1389人。授業は朝鮮語で行い、朝鮮半島の歴史や地理を学ぶ時間もある。韓国籍や日本国籍の児童・生徒も通う。
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