2018.09.18
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生きていればどうにかなる |
登校拒否・不登校を考える (下) |
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学校に行かなくなる 〜将来について不安ばかり〜
悪口を言われる
僕が学校へ行かなくなったのは中学校一年生の夏休み明けでした。きっかけは、転校生に過剰にいじられたことでした。
僕ははじめ、転校生と仲良くなればみんなとも仲良くなれると思い、彼に話しかけたり、一緒に遊ぶ約束をしたりしました。ただ、何回か遊ぶうちに、なぜか僕に対する彼の当たりが強くなっていきました。それがクラス全体にも広まって、みんなからいじられていくようになり、学校に行くのが嫌になりました。
それでも、しばらくは、少しずつ学校にも行っていましたが、夏休みの三者面談で先生が学校に来させようと僕のことを毎日日直にしていることを知り、もっと学校が嫌になり、完全に学校に行かなくなりました。
学校に行かなくなり、最初は、自分はこの先、生きていけるのか、将来の自分は大丈夫なのか、など不安ばかりでした。外に出れば周りの視線がすべて自分に向けられ、周りにいるすべての人が自分の悪口を言っているようなそんな気持ちでした。
しばらく学校へ行かない生活を過ごしていると、自分の中で必ず学校へ行かなければいけないと思う気持ちがなくなり、学校へ行かない、ということに罪悪感が全くなくなりました。
学校に行かない間は、もともと好きだった映画をたくさん観たり、小説や漫画を読んだり、時には自転車で遠くへ行ってみたりもしました。また、これまであまり見ていなかったアニメを見始めるなど、普通に学校へ行っていればできない経験をたくさんしました。
母親は、「学校には行かなくてもいいよ」と言ってくれました。実は小学校4年生のときも不登校になりかけたことがありました。その頃は、無理やり母に引きずって学校に連れていかれたのですが、このときは僕の話もしっかり聞いて、「それなら休んでいいよ、無理しないで」と理解をしてくれました。
学校を休み始めてすぐ、母親はいくつかのフリースクールを見つけ、パンフレットを置いてくれました。ただ、すぐには行く気になりませんでした。フリー“スクール”だから学校だと思ったし、そういう場所に行ったらまた悪口も言われると思ったからです。
不登校になって1年近く経ったころ、父親に、母が頑張って調べたのだから資料くらい目を通したらどうだと言われ、資料を読んでみました。フリースクールでは無理に勉強させないことはなんとなく知っていましたが、思ったより楽しそうにしている様子を見て、一度行ってみようと思い、東京シューレを見学しました。
東京シューレに行ってみると、たくさんの人が楽しそうに過ごしていて、すぐにここに行きたいと思いました。年上の人にははじめは近づきづらかったのですが、同じ年代の人が年上の人に気兼ねなく話しかけてたり、意見を言ったりしていて、上下関係があまりない場所で過ごしやすいと思いました。
また、入って1カ月くらいしたときにハロウィンパーティーがあったのですが、とある年上の男の人が盛り上がって女の子向けのキャラクターもののコスプレをしていて、ここって楽しい場所で何をやってもいいんだと実感しました。
シューレは楽しい
いまシューレでは、映画倶楽部を立ち上げたり、動画制作をしたり、みんなで遠くに遊びに行ったり、好きなことをして過ごしています。また、ボイストレーニング講座やギター講座にも挑戦しています。
最近は、スマートフォンやアニメのDVDやグッズなど、欲しいものを自分で稼いで買いたいので、アルバイトを始めたいと思っています。 今年からは東京シューレの高校コースにも入りました。僕が高校コースで一番不安だったのは勉強です。僕は学校へ行かなくなってから勉強をほとんどやっておらず、高校の勉強についていけるのかとても心配でした。
いざやってみると講座ではスタッフが丁寧に教えてくれて、わからないところもしっかりわかりやすく解説してくれました。講座も堅苦しいものではなく、教えてくれるスタッフが雑学など笑いを交えて教えてくれるので、講座が毎週楽しみになるくらいです。
学校へ行かなくなった時に自分は、失敗した、と思っていました。今は学校へ行かなかったことは、成功だと思っています。なぜなら、ただ学校へ行き、ただ過ごしているよりも、とても将来に役立つ勉強をしたいと思っています。
いまは自分のやりたいことが見えてきて、将来はアニメや漫画の世界にかかわりたいと思っています。
最後に不登校になってから学んだ二つの教訓があります。
「人生、生きていればどうにかなる」と「逃げることは恥じゃない」です。
絶体絶命の状況は逃げて、生き延びれば、必ずどうにかなる、これが僕の学んだ事です。 |
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