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高所得者ほどメリットが大きい無償化 |
まやかしの『子育て支援法(案)』 |
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「待機児童対策優先を」の声も
安倍自民党が、2017年総選挙で公約に掲げた「幼児教育・保育無償化」を具体化する内容が固まった。2月12日「幼児教育・保育を無償化する子ども・子育て支援法改正案」が閣議決定され、3月12日から衆議院で審議が始まっている。
今回の無償化案は、幼稚園と保育園に入っている3歳?5歳までの保育料を19年10月から無償にするもので、財源は消費税の8%から10%に引き上げる増税分で手当てするとしている。
無償化は一部実施されていた!
今までに、無償化されていた対象を図式化すると、
(表)のとおりである。 表にあるとおり、既に第3子以降は全て無償化されている。それは、少子化対策のために第3子以降の出産を促すためだ。第2子は、生活保護世帯と住民税非課税世帯も無償化されている。これは、子どもの貧困対策のためである。
今回なぜ3歳から5歳児だけが対象化になっているかというと、3歳から5歳の子どもは、ほぼほとんどの子どもは保育園か幼稚園に入っているからと想定したと考えられる。既に、3歳以上の低所得者の子どもは無償化されているので、今回の無償化案は所得の高い人ほどメリットが大きい。そのため、待機児対策を優先すべきであるとの意見は多い。
また、待機児童が多く、しかも保育料の高い0歳児から2歳児の保育料も無償化すべきであるとの期待も高い。
認可外保育園も対象になるが!
無償化を巡っては、認可外の保育園の扱いが論議になったが、対象になる。今回の無償化の対象と上限額は、以下のとおりである。@3〜5歳の保育園・幼稚園・認定子ども園 認可→全員無料(ただし、幼稚園保育料の無償化上限額は2万5700円) 認可外→上限、月3万7000円 A0〜2歳の保育園・幼稚園・認定子ども園 認可→住民税の非課税世帯が無償化 認可外→住民税の非課税世帯が上限月4万2000円
食費を実費徴収で、無償化と言えるか!
国の基準では、食費は主食費月3000円、副食費月4500円になっており、保護者は幼稚園では両方、保育園は主食費のみ負担している(一部、低所得者の免除はある)。そのため、食費は保護者負担にするという。これで無償化と言えるだろうか。
進行する保育園の質の劣化!
無償化が話題になる中で、保育園の民営化と保育士の待遇の悪化が進行していることを忘れてはならい。〈保育所等の種類〉は、次のように複雑化し、人員配置基準、施設面積の規制緩和(改悪)も著しい。@保育所→公設公営、公設民営(社会福祉法人、株式会社など)、民設民営(社会福祉法人、株式会社など)。 A認定こども園→幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型※@Aは、0歳から5歳児まで B小規模保育事業(定員6〜19人、0から2歳児まで) A型は保育士100% B型は保育士50% C型は保育士ゼロでも可 C企業主導型保育所 D家庭的保育 E居住訪問型保育 他に、認可外の保育所がある。 F認証保育所(東京都だけの制度) G無認可保育所(自治体の助成あり) H無認可保育所(自治体の助成なし、ベビーホテルなど)
今年も待機児が大量発生!
朝日新聞の調査によると(3月18日朝刊)、「72自治体で約6万5千人が認可保育園に落選、4人に1人」とのことである。安倍政権は、18年末までに保育の待機児をゼロにすると公約していた。
ところが、18年4月時点で、2万6000人の待機児が生まれた。18年6月には、待機児解消のために20年度末までに、32万人分の保育施設を整備するという目標を掲げた。「希望するみんなが保育園に入れる会」の推計では、17 年で潜在需要を含めると56 万人の待機児がおり、野村総研の試算では20年度末までに88万人の受け皿の整備が必要との報告が出ている。
安倍政権は、付け焼刃的な対応に終始しているが、少子化対策のためにも、待機児対策、0歳から5歳までの全ての子どもの保育料の無償化を求めていくことが必要である。
そのためには、消費税に財源を求めるのではなく、税制改革(所得税の累進性の強化、法人税の引き上げなど)の提言も求められる。
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