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奨学金問題対策全国会議 |
利用者の「負担」と「不安」の軽減へ |
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「高等教育無償化法」の課題 〜中位所得者こそ救済を〜
奨学金問題対策全国会議設立6周年集会が5月18日、東京・四谷の司法書士会館で開かれた。
集会は、見て聞いて知ろう!「若者のリアル」〜真の高等教育無償化への道筋を考える〜と、サブタイトルをつけ、「大学等における就学支援に関する法律」が5月10日、参院で可決成立したことを受けて、真の高等教育を考える契機となる集会となった。
最初に、奨学金問題対策全国会議共同代表の大内裕和・中京大学教授が「改革は世代間断層を超えて」と題して報告と問題提起を行った。
次に、昨年9月に発足した学生アドボカシー(擁護・政策提言)グループ”FREE”による学費・奨学金の実態調査で分かった「学生のリアル」が特別報告された。その後、大内さん、FREEの大学生3人によるパネルディスカッションが全国会議事務局長の岩重佳治さん(弁護士)の進行により行われた。
さらに、労働者福祉中央協議会の佐野敬太郎さんが、「アンケートから見る教育費負担と奨学金問題」について報告、鴨田譲弁護士が「日本学生支援機構は過払い金を返せ!」という訴訟報告、奨学金制度改善への政策提言を西川治弁護士が行った。
冒頭に報告・問題提起を行った大内さんは「5月に成立した大学等における就学の支援移管する法律は、13年以降の奨学金運動の盛り上がりの結果であり、それに対する政府の「封じ込め」である」として、その欺瞞性を訴えた。
また、マスコミはこぞって高等教育無償化法と銘打っているが、内容は「真に支援が必要な低所得世帯の者」に限定され、正しくは「低所得世帯の学生を対象とした学費負担軽減法」とすべきだ、と指摘した。
各調査で明らかになっているように、中位所得者(年収380万円以上)を対象から除外したことで、近年の高等教育における学費問題の中心的課題に対応していないと指摘した。
1990年代後半以降、奨学金利用者は急増(1996年21・6%→2012年52・5%) している。これは、学費の高騰と親・保護者の所得の減少が理由で中間層世帯が学費を支払うことが困難となっている、と背景を明らかにした。
FREEの対面・ネットによるアンケート活動では(1000人超、今では2000人超)、学生は真剣な気持ちで大学に通い、大学・学部選択の際に6割の人が学費のことを考えた、学費負担、奨学金返済が進路選択に大きく影響している、学生生活が通学時間・アルバイトで奪われている実態が明らかになったとしている。
労働者福祉中央協議会からは、「考えよう→奨学金 アンケートから見る教育費負担と奨学金問題」というパンフレットが配布・紹介された。
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