トップ週刊新社会教育2019.10.08
子どもをテストで追い詰めるな
教育ビックデータの構築 《下》
市民の会  志水 博子

 安倍教育「改革」のもとで尖兵を務める大阪維新の会。青写真を書くのは、橋下徹氏が市長時代に教育委員として招聘した大森不二雄氏である。

 彼は教育委員長として、まさに維新が志向するところの新自由主義的教育「改革」の先頭に立って采配を振る。

 私は、大阪市教育委員会会議をも何度も傍聴したが、大森氏の弁のままに決定されていく有り様に唖然とさせられた記憶がある。

 その後、彼は2016年3月に任期をまたず退任する。理由は「多忙」。しかし、この時期大森氏は育鵬社教科書採択のためともいえるアンケート不正問題で追及されている真っ最中であった。なお「多忙」であるにもかかわらず4月には、彼は大阪市特別顧問に就任し、総合教育会議において吉村洋文市長(当時)とともに大阪市教育施策を牽引していく。

 昨年、吉村市長が出した、学力テストの点数を教員のボーナスに反映させる方針は、大阪市教育総合会議議事録を見る限り、背後で大森不二雄氏が動いていると見て間違いない。

 ところが、本年4月、前代未聞の大阪府知事と大阪市長の入れ替えダブル選により市から府へと鞍替えした吉村洋文大阪府知事であるが、ここで維新教育「改革」の本舞台は市から府へと変わったとみていい。

 先頃就任した文部科学相萩生田光一氏は、学校の情報通信技術(ICT)の環境整備を謳っているが、すでに大阪ではICTとともに「教育ビッグデータ」の構築・蓄積から活用が大森氏によって盛んに推奨されている。統一テストを行うのはおそらくそのためであろう。そして、それは教員人事評価制度にも直結する問題である。

 全国から反対の声をあげてほしい。