トップ週刊新社会教育2019.11.12
固定給・働かせ放題 〜給特法改定〜
正当化の改悪だ
 ただ働きを強いて学校現場を巨大なブラック職場化している「教職員給与特別措置法」(給特法)は、公立学校教員に4%の給与調整額を支払う代わりに、時間外労働や休日労働の手当てを支払わない。

 その抜本的見直しを求める声に対し、政府は夏冬の長期休業中にバランスをとるとして年間変形労働時間制を導入しようと、改定案を10月18日閣議決定し、国会提出した。しかし、1日の長時間労働を見えなくし、「固定給・働かせ放題」を正当化・固定化する改悪と反発が強まっている。昨年からインターネット署名サイト、「change.org」署名活動を進めている高校教員、西村祐二さん(当時は斉藤ひでみという仮名)は昨年12月に続いて、今回集まった3万3155人分の署名を、約3000人のコメントとともに9月28日に藤原誠文科省事務次官に手渡した。

 今回の署名は教員の夫を過労死で亡くした工藤祥子さんと9月から改めて行ったもので、10月8日の院内集会は29名の国会議員やマスコミが集まり、参加制限の盛況だった。

 藤原次官は「懸念を払拭するために丁寧に説明する。制度設計をしっかりと進める」と型通りの対応。これでは「子どもたちに教育の質を保障するためにブラック残業の抑制を!教員の残業代ゼロ法『給特法』を改正して下さい」と求める西村さんたちの声は届かない。

 実際、文科省と中央教育審議会の給特法抜本改正の論議は低調だ。理由は給特法を廃止して時間外労働手当等として支払うためには、必要な財源が9000億円という問題もある。

 労働基準法では、変形労働時間導入は労使協定が前提。それを無視して法制化する動きは、全労働者に悪影響を与える。教員の業務量を減らし、「少人数学級」を進めることこそが求められる。