トップ週刊新社会教育2020.03.17
朝鮮学校の尹校長が講演
差別と闘って民族教育 
狭山と人権 茨城の会

 「狭山事件と人権を考える茨城の会」の第3回人権講座が2月8日土浦市内で開かれ、茨城朝鮮初中高級学校の尹太吉(ユン・テギル)校長が「朝鮮学校と在日朝鮮人運動―民族教育の歴史を軸に―」と題して要旨次の講演を行った(写真)。

 朝鮮人は終戦当時、日本政府の同化施策との闘いの中で母国語(朝鮮語)を取り戻すため朝鮮学校の設立に全国で取り組んだ。 日本国内で義務の面では「日本人」、権利の面では「朝鮮人(外国人)」と差別され、その後も日本政府による朝鮮人の日本への同化と統制・治安施策は現在まで続いている。歴代内閣は、朝鮮人に税金は払わせるが、教育等の日本人なみの待遇は「朝鮮人学校」には与えていない。

 1948年にGHQの指示で日本当局が「学校閉鎖令」を発し、全国で「4・24教育闘争」が展開された。茨城では公立学校で「民族学級」が開設されたが、中学生以上は義務教育から排除され、1953年に茨城朝鮮中学校が開設され、今に至る。

 在日朝鮮人運動は学校設立の中、「朝連―民戦―総聯の経過」を経て1955年に在日本朝鮮人総連合会が結成された。57年には朝鮮民主主義人民共和国が成立し、「教育援助費と奨学金」が現在まで165回486億円送られてきた。

 また70年には東京都が初めて助成金支給を始め、県・市などの他の地方自治体も支給を始めた。茨城県でも、2016年当時の馳はせ浩文科相の「通知」による補助金打ち切りまで35年間支給した。

 民族教育は1980年代以降、在日朝鮮人の定住志向が明確になり、教育内容も定住を前提に教科書も編さんされた。祖国朝鮮とのつながりも強まり、同胞祖国訪問、生徒の祖国訪問も増えた。

 民族教育権利擁護運動も進み、JR定期券格差是正、スポーツ、芸術分野での朝鮮学校生徒参加資格や、大学入試資格が前進した。

 現在は、在日朝鮮人社会を担う人材育成、祖国統一と民族教育に寄与する人材育成、日本との友好親善を担う人材育成など、教育は充実している。

 しかし、少子化での生徒数減少と財政難、日本政府の「民族教育つぶし」と安倍内閣による「高校無償化排除」「自治体補助金停止削減」「幼保無償化排除」で厳しい状況にある。

 茨城では、「朝鮮学校の子供たちの人権を守る会・茨城」や「マームネット」などと共に「補助金復活要請行動」行い、闘いを進めている。