熊本県南部を襲った7月4日の記録的豪雨は甚大な被害をもたらしたが、新社会党など県内の野党は災害発生から1カ月後の8月5日、人吉市、球磨村、八坂市坂本町、芦北町の現地調査を行った。
調査では、旅館業、農家、自営業者、ボランティア団体、保育園、市議、村議らから切実な要望を聞いた。新社会党県本部からは岩中伸司委員長と栗原隆書記長が参加した。
県や各自治体の初動対応が一定終わった時点で、被災者から聞き取りを行い、県に要請しようと取り組まれたもので、17日に県庁に蒲島郁夫知事を訪ねて要旨別記の申入れ書を手渡した。
芦北町田川の土砂崩れで亡くなった人に花を手向け、
手を合わせる岩中伸司・県本部委員長 |
被害状況についての聞き取り調査では、被災者から次の様な要望、訴えがあった。
「橋が5つ流され、目の前にある田んぼに行けない。道が狭くなったので、かろうじて収穫できる梨などの果樹が運べない」
「10年前に2500万円で建てた家が骨組みだけになった。また家を建て直すのはきつい。だけど、このままでは故郷を離れた子どもたちの帰る場所がなくなってしまう」
「多良木に避難している。遠いので、タクシーを使って片付けに戻っている。片道7000円かかる」
「集落は26戸あるが、残ると言っているのは7戸、2戸が未定だ。どうしたらいいだろう」
県への申入れ要旨
1 災害廃棄物
①速やかに処理に努め、仮置場の増設を。
②県内外の自治体へゴミ収集車の支援を要請する。
③散水車、道路清掃車を配置する。
2 災害土砂の撤去
①生活環境上、支障がある場合には、空き家・空き地の土砂及び災害ゴミの撤去すること。
②ボランティアや個人の対応では限界があり、自衛隊への積極的な出動要請を行う。
3 インフラ・ライフライン等
①沖鶴橋等の復旧が急がれるが、現状復旧では再び同様の降雨により、流出することも考えられる。当面の仮復旧とともに、橋脚の間隔を空け、桁下の高さにも余裕が持てるように、周辺住民の意見をよく聞いた上での改良復旧を行う。
②地域の水道管理組合への支援を行う。
4 被災者支援
①避難場所が分散されていることによって情報が滞ることのないようにすること。
②避難所から自宅及び、公共の場所への足を確保する。
③相談のワンストップサービスに努める。
④被災地の仮設トイレの増設を行う。
⑤学校へのスクールカウンセラーの配置を整える。
⑥全壊、半壊などの線引きの周知を行う。
⑦仮設住宅は、できるだけ元の集落に近い場所で、コミュニティを維持できるように配慮する。また、希望者全員が入居できるよう戸数を確保する。
⑧県職員住宅をみなし仮設として利用。
⑨「球磨川との共存・共栄のあり方は住民の意思で」との立場で、住民の意向に沿った復旧を進める。その際、かさ上げや、集団移転なども住民の意向に沿って進める。(以下略)
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