トップ週刊新社会教育・町2020.11.10
初のオンライン集会に412名 
        第7回多様な学び実践研究フォーラム 上

 
変化する日本の教育
 
 現在、日本の教育は、大きなスピードを持って変化している。

 一つは、新型コロナ感染拡大の状況は、これまで、密の代表である学校と距離をとることを余儀なくした。学校へ行くべき、学校がやれといったことは従うべき、と当然のように考えられていたが、2月~4月の休校状態と、その後のステイホームは、人が成長するのに、通学が絶対ということはないことが体験されたのである。家に居ながら学ぶ方法は急速に整備されてきた、といえる。

 しかし、コロナ状況の前から、日本の学校制度は多くの人が改革を叫んでいた。もはや大量生産型近代社会の教育の在り方は、現代の子ども・若者のニーズに合わなくなってきている。それが最もはっきり見えるのは、不登校の増加が止まらないことだ。

 小中学生だけで16万4000人(平成30年度文科省学校基本調査)に上り、その前年と比べ2万人もの増加である。そういった時代には、学校教育のみでなく、多様な学びを日本社会に作り出し、選べてこそ、憲法でいう子どもの学ぶ権利が保障されてるのではないかと私たちは考えてきた。

 実は、実際に、多様な学びは、日本社会に展開している。それらを知ってほしいし、まだまだ創り出したい。交流することによって質の向上もはかりたい。そうやって、2013年より東京、大阪、福岡などで行ってきたものである。

コロナ禍で9月に開催

 今回の第7回フォーラムは、3月に早稲田大学で開催の予定だったが、9月5日、9月6日に変更となり、方法もオンラインで実施された。

 1日目は全体会で、基調講演やシンポジウム、2日目は午前8つ、午後9つの分科会が持たれ、最後は台湾のオルタナティヴ教育の講演があり、盛りだくさんの内容だった。

 それをすべてオンラインでつなぎ、果たしてうまくできるのだろうか、と実行委員会では最後まで不安だった。

 ふたを開けてびっくり、有料であったが、ぞくぞくと多くの人が入ってこられ、412名もの参加でもり上がった。このうち、学生さんが100名を超えて申し込まれた。

 このフォーラムについて2回に分けて報告する。

不登校政策が全面転換

 まず、「多様な学び保障法を実現する会」の共同代表・汐見稔幸さんのビデオレター、そして共同代表・喜多明人さん(子どもの権利条約ネットワーク代表)による基調講演から始まった。

 喜多さんは、子どもの権利条約採択30年の節目として「子どもの学ぶ権利保障と多様な学びのこれから」を話した。

 とくに2016年に成立した普通教育機会確保法の大きな意義と、その基本指針に基づいた2019年10月25日通知の意義は大きく、「不登校政策」は全面転換したと評価、今後もすすめていく制度論にも言及した資料たっぷりのものだつた。

 次に、現在増えている小学生の不登校を背景に、今回のシンポジウムは「若い命が生き生きと育つ」が実践的に語られた。登壇者は次の5名である。非常に多彩で面白かった。
●永易江麻(東京コミュニケーションスクール)
●西村早栄子(鳥取智頭の森こそだち舎・森のようちえんまるたんぼう)
●熊谷亜希子(共育ステーション地球の家)
●中川綾(大日向小学校、日本イエナプラン教育協会)
●今井睦子(世田谷区ほっとスクール「希望丘」施設長、東京シューレ)

 小さい子ども達のみずみずしい感性や躍動感が伝わってくる実践の話は、非常に多彩で面白かった。その子どもがその子たる大切なものが伸びていくには、小さい頃こそ多様な学びが選べることが重要だと伝わってきた。1日目は、外国籍の子どもの教育機関確保について小貫大輔さんによる講演で終了した。