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2012.2.28
電力の改革
発送電分離を軸に論点整理

 今月、経済産業省の「電力システム改革専門委員会」がスタートした。昨年末、枝野幸男経済産業大臣が公表した、電力システム改革の「論点整理」をたたき台にして、電力会社の発電部門と送配電部門の分離を中心とした議論をする予定だ。
 現在の電力会社は、発電から送電・配電までの各部門を垂直に統合して、地域別の独占体制をとっている。質の高い電力を安定的に供給するためにというのが大義名分だった。
 3・11以前にも、原発のトラブル隠しが問題となった2002年、電力自由化の文脈で発送電分離が検討されたことがある。しかし、新自由主義の先達米国などでの発電部門自由化にともなう分離は、コスト削減優先・設備投資不足で大停電をもたらした。電力の過不足を市場にまかせると投機が発生することも経験した。
 一方、垂直独占体制下では、再生可能エネルギー発電は不安定性を主な理由として、電力会社の送電網につなぐことを厳しく制限され、導入期の高コストとともに、その普及の妨げとなってきた。
 「論点整理」では、電力会社から送配電部門を完全に切り離す「所有分離」、持ち株会社の下に発電会社と送配電会社を別会社とする「法的分離」、送電線網を中立機関が運用する「機能分離」、同一企業内で会計だけを別にする「会計分離」の4方式を打ち出している。
 財界・政界・地域をも思いのままに動かしてきた独占体にメスを入れる好機到来ではある。電力独占側はできるだけ形式的なものにとどめ、力を温存しようと抵抗する。経産省官僚は宿願の統制強化をと公的管理も狙う。財務省は出費がかさむ国有化には反対だ。
 必要なのは、フクシマの事故賠償や原発廃炉を確かにしつつ、送電網は一体的に公共的に維持管理した上で再生可能エネルギーの着実な育成をはかるような電力改革だ。(義)


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