新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 経済
  4. 2012.9.25
2012.9.25
経済財政白書
財界への気配り横溢

 7月下旬に内閣府が公表した本年度『経済財政白書』の要約版を新聞で見たとき、おや、と思った。「裁量的な減税政策が税収を大きく減らしている」という一文が目にとまったからである。どのような反省の弁か。最近、書籍として出版されたので、その部分に目を通してみたら、実にセコイ内容である。以下、白書の説明を聞こう。

 まず、所得税収については、1990年度比、2010年度はほぼ半減(26兆↓13兆円)。その理由の一つに、まず90年代に大規模な減税が繰返し実施されたこと。中身は課税最低限の引上げ、定率減税、最高税率の引下げ、数次にわたる単年度の特別減税などからなる。

 また、06年の地方への税源移譲に伴う税率構造改正の影響も大とする。法人税収は、同20年間で同様にほぼ半減(金額記載なし)。理由は、税率引き下げ(37・5%↓30%)や「研究開発・設備投資減税等」などの影響が大とする。「繰越欠損金の控除制度の適用額の増加」にも触れてはいる。

 筆者がセコイと思うのは、なりゆき上、法人減税に触れつつも「主犯」は所得減税にあり、としているからだ。しかも相続税減税、配当所得への優遇措置など、富裕層優遇措置を隠ぺいしている。

 他方、中下層に有益だった配偶者特別控除の改悪や定率減税廃止にも触れず、「消費税や間接税は所得ベースの課税より安定的」と持ち上げる。そして結論は「社会保障と税の一体改革で活路を」というものだから、何をか言わんや、だ。(影山力)


 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ