師走以前から米国でサンタが走り回っている。多くの企業が「特別配当」というプレゼントを持って株主のゴキゲンを伺う。富裕な株主達への、脱税の奨励だ。
来年からの「財政の崖」を目前にして、オバマ大統領と、野党・共和党との協議は難航している。一例としてオバマは来年から、夫婦の年収が25万ドル超の世帯について、配当課税の税率を、現行の15%から最大39・6%に引き上げたい。これに富裕層の太鼓持ち=共和党が反発。企業も悪巧みに走った。税率が上がる前に配当してしまおう、というのだ。株主のため、とは聞こえはよいが、経営者本人たちが実は大株主だ。
11月までに米国企業228社がこの「特別配当」の年内実施を発表。12月にもその数は積み増す。高級皮革製品のコーチは四半期配当の支払いを年内に前倒しすると発表。
ディスカウント大手=コストコは総額で約30億ドルの特別配当すると表明。04年の配当開始以来、同社が今年9月までに配当した総額が25億ドル。それを上回る金額を一気に配当するという荒業だ。公表した企業で有名なのはW・ディズニー、ウォルマートなど。ラスベガス・サンズという企業は約23億ドルの特別配当、さすがカジノ大手胴元の賭けは手堅い。ゲスという名の企業もリストにある。言い得て妙だ。
一方、特別配当や配当の前倒しをしない、と表明した愛国的?企業もある。衣料小売大手のギャップは今月4日、「一部企業の動きに追随しない」と表明。これが「市場」の怒りを呼び、ギャップ株は即日、10%以上急落した。本物のサンタはどう思うだろう。
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