新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 経済
  4. 2014.06.24
2014.6.24
暴走するアベノミクス(上)


許すな!法人税の引下げ
野崎佳伸


 政府・与党は6月11日、現在35・64%(東京都)の法人実効税率を、来年度から数年以内に20%台まで引き下げる方針を固めた。甘利経済財政・再生相と野田毅自民税制調査会長のボス交で確認した。27日の「骨太方針」閣議決定に盛り込まれる。


 法人実効税率の引下げは、「日本企業の6重苦」の一つとされ、日本経団連の新会長、榊原定征(東レ会長)も、就任第一声の中で「法人実効税率の引き下げ」を、「原子力発電所の早期再稼働」とともに「喫緊の課題」とぶちあげた。
 だが、その財源の確保については政府・与党内においても意見の相違がある。そもそも、法人税率を1%引き下げると、税収減は5000億円だ。10%引き下げには5兆円の代替財源が必要だ。これは消費税の2%分に相当する。
 政府税制調査会の「法人課税検討会」(大田弘子座長)では、中小企業や地方自治体への負担転嫁等も模索されたが、強い反対意見も出されてきた。冒頭のボス交による決着も、裏返せば苦肉の策に他ならない。
 実は日本の法人実効税率は民主党政権の下、12年度から4・5%引下げられたばかりだ。3年間は東日本大震災の復興特別法人税として付加税10%が課せられたが、それでも2%の減税だった。
 ところが安倍政権は本年4月から消費税の3%増税と、個人に課される25年間の復興特別所得税を尻目に、復興特別法人税を前倒しで廃止してしまった。安倍首相が1月のボス会議で宣言した「法人税率を今年の4月から、2・4%引き下げます」がそれだ。
 一方、安倍首相は、「財政再建」については何の根拠も示さず、ただ「軌道に乗りつつあります」と述べただけだった。
 法人税を払っているのは全企業の3割弱。一握りの勝ち組大企業への優遇措置は内部留保を増やすだけ。さらに財政不規律の懸念を内外に与え、日本売りを招きかねない。百害あって一利なしだ。

 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ