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2014.7.01
暴走するアベノミクス(中)


女性の活躍推進 アメとムチを駆使して
野崎佳伸


 政府・与党は昨年の成長戦略での「2017年度末までに保育の待機児童ゼロ」に加え、今回は「学童保育の定員を2019年度末までに約30万人分拡大する」とした(その質の低下についてはここでは不問にする)。他方、所得税の配偶者控除や専業主婦などが対象で社会保険料の負担がない「第三号被保険者制度」、さらに企業等の支給する配偶者手当までも見直しを表明。少しのアメと大量のムチを駆使して、無理やり女性を労働市場に狩り出そうとしている。
 このうち所得税については、配偶者控除を受けられる妻の年収を103万円から65万円に、配偶者特別控除を受けられる妻の年収を141万円から103万円にすることを検討している。つまり、控除のラインを下げることによって、パートや臨時で働く妻たちに「もっと働いて稼ごう」と思うように仕向ける。
 そして逆に、「控除が受けられないのなら働かずにいよう」と考える家庭には「第三号被保険者制度(130万円ライン)の見直し」や民間及び公務員の「配偶者手当の見直し」を掲げ、逃げ道をなくしてしまう。家事も、外での長時間労働も両立させよ、というわけだ。
 さらに、少子化対策では「50年後に1億人維持を目指す」ので、「第3子以降の支援も厚くする」から、もっと産んで育児の時間も増やせ、という。これが三重苦でなくて何だろう。
 「女性の一番大切な仕事は子どもを生み育てること。外に出てバリバリ働くよりもそちらを優先しよう」と述べた人物をNHK経営委員に任命したのは安倍政権ではなかったか。「家父長制と資本制」(上野千鶴子)のアベノMIXの極地だ。
 一方、政府が6月17日に閣議決定した『少子化社会対策白書』では、「結婚への支援策」として「給料を上げて」「共働きが続けられる職場環境」「安定した雇用」を希望する声がそれぞれ半数近くを占めたことが紹介されている。また同日の「男女共同参画白書」は、「13年の男性正規雇用者は02年に比し、170万人減少し、非正規は179万人増えた」「男性の非正規の未婚率は、どの年代でも正規より高い」としている。
 婚姻率や出産率の低迷は、長時間・低賃金、不安定雇用のもとでの、若者たちの選択の結果だ。つまりこの国の政治や大企業本位社会への、無言の復習なのだ。

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