暮らしは先行不安
資本の思惑通りに進む春闘に、バス労働者から職場の怒りの声が寄せられた。
☆ 「ふざけんなよ日産!ベア1500円って、まーた世の中引きずられるじゃん!」「先行き不安とか抜かしやがって、うちらの方が不安だよ!」休憩室でテレビニュースを観ていた仲間達が騒ぐ。
我々の会社の経営側は、この15年間であらゆる手段を駆使して労組を屈伏、あるいは懐柔しながら、総額人件費を右肩下がりにさせてきた。おかげでバッチリ大幅黒字が出ていながら、大企業の真似をして「先行き不安だから」出したくないとほざく。 春闘交渉で有額回答は出したようだが、ベア0プラス一時金だと。ふざけるな! こちらは慢性的人員不足に低賃金で、眠い眼をこすり痛む足腰をさすりながら必死に運転し、満載の乗客の命を預かりながら傍若無人な車や自転車に怯え、神経をすり減らしつつ残業、休日出勤の繰り返し。搾取を繰り返されてきたというのに! 当然、不満が渦巻く中でのスト権投票は90%以上で確立。だが…残念ながら不満と同時に「あきらめ」も蔓延している。怒りの突き上げでストライキ、という春闘には絶対にならないだろう。
あきらめの要因は多々ある。会社と労組との力関係、それに伴う会社の労務管理強化や過去何年もの合理化搾取や抵抗勢力となる労働者が排除されてきた事実、それでいて毎年「生かさず殺さず」程度の賃上げと一時金で必ずといっていいほど妥結する(ので当然ストはしない)実績、それに何と言っても連合、私鉄総連等の上部団体が現場より経済界の方を向いている現実が大きいだろう。
最初から労働者保護規制を権力に差し出す腹積りの連合はもちろん、今や私鉄総連も「交渉重視」をお題目に統一戦術をかなぐり捨て、春闘を加盟単組に丸投げし、ストライキを掲げた単組が孤立する始末だ。
おまけに加盟大手電鉄系労組の多くは、この20年間でバス部門の支部・分会を切り離し、見捨ててきた。こうなると団結も何もない。バラバラにされた私鉄単組は次々に査定人事賃金制度を受け入れ、仲間同士の格差が広がり職場はより一層バラバラにされた。
長時間労働で疲弊し、手元のスマホに埋没するしか余力がない労働者は真実が見えにくくなり、職場からは闘いが遠のく。そして今年も「交渉重視」の春闘が強引に幕引きされるのだろう。 (A)
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