まもなく5月。5日はこどもの日だがカール・マルクスの誕生日でもある。マルクスは主著『資本論』で、利潤や利子、地代の源泉が労働のみにあることを、人類史上初めて正確に明らかにした。
つまり、資本家が原料や機械(生産手段)を用意し労働者を雇って一定期間に商品を生産すると利潤が得られる。その地が他人のものなら地代が支払われる。
世間の常識では、生産手段を用意できる資産家はまれな存在だから、彼には一定の対価が支払われて当然と考えるし、土地は恵みの母なのだから、地主にも対価が支払われるものと理解される。
今日では株式を購入しただけで配当が支払われ、その生産に一切係わらない何億人かの人々がそれを受け取っている。
マルクスはその源泉が不払い労働=剰余価値にあることを明らかにした。
労働者は自分の受け取る賃金相当部分を、例えば4時間で生産しうる。しかし資本家は更に4時間、この労働者を働かせてその成果を丸取りし出資者や地主の間で分かち合う。
他の経済学は利潤や地代がなぜ生みだされるのか、説明に失敗するか、そもそも説明しようとさえしなくなった。
『資本論』第一巻刊行50年後のロシア革命によりソビエト政権が誕生した。従って今年は資本論刊行150年、ロシア十月革命百周年にあたる。
だが周知のとおりソ連は74年後に崩壊した。趣旨は異なるが、レーニンが最後に残した論文の標題が「量は少なくとも質の良いものを」だったことは皮肉である。集権的指令型計画経済を超える新たな社会主義像が求められている。
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